スイカとトマトのジュース 夏の薬膳⑤
前回に引き続き、夏の薬膳です。
今回も夏の暑さを上手にしのぐレシピで、『スイカとトマトのジュース』です。
熱中症の予防だけでなく、熱中症や暑気あたりになったかも、と思ったときに飲むとよいでしょう。
暑い日には冷たいものがおいしく感じます。アイスクリームやかき氷、キンキンに冷えた飲み物を毎日のようにとる人もいるでしょう。しかし、冷たいもののとり過ぎは胃腸の働きを悪くしてしまうことがあります。
からだを冷やすには実は2通りの方法があり、表面的な温度を下げる方法とからだの芯の温度を下げる方法があります。
表面的な温度を下げる方法は、冷たい食べ物、飲み物をとることが有効です。日中暑い中にいる時やかえってきた直後に有効で素早くからだの表面の温度を下げたりします。これは、一時的には涼しさを得られるので、からだも冷えたような気になるのですが、実際には胃腸が冷えているだけで、からだの芯の熱はとれていないことが多いです。
からだの芯に熱がこもった状態とは、からだのほてりがとれない、いくら冷たい飲み物を飲んでものどの渇きが癒えない、などの状態です。日中も暑く、熱帯夜が続くときになりやすいです。
からだの芯に熱がこもった状態が続くと、暑気あたりや夏バテの状態になり、からだのだるさやのぼせ、空咳などの症状が出てきます。
からだの芯の熱をとるには、お小水や排便をスムーズにし、一緒にからだの熱を排出させることが日常的にできる養生です。
その作用がもっとも優れている食材の一つが、スイカです。
◆ 西瓜(スイカ):強い利尿作用で暑気あたりを解消し、のどの渇きをおさえる
**食材の解説**
非常に強い利尿作用があり、からだの熱を取り除きます。また、口の渇きを抑えるので、暑気あたりや熱中症の予防に最適です。また、口内炎にも効果があるとされています。
スイカは、“天生の白虎湯”とも言われます。白虎湯とは、高熱や口の渇き、多汗などの症状があるときに使われる漢方薬で、スイカの熱を取り去る効果が非常に強いことを言い表しています。
また、スイカの皮は“西瓜翠衣(せいかすいい)”といい、強い利尿作用と熱をとる漢方薬になります。
現代の栄養学からみると、トマトよりも多くのリコピンを含み、強い抗酸化作用があります。また、カリウムやシトルリンが含まれ、強い利尿作用があり、血圧を下げる作用がみられます。
非常にからだを冷やす効果が強いので、夏以外の季節は控えた方がよいでしょう。冷え性の人は、大量に食べないようにし、できるだけ日中に食すようにしましょう。
また、利尿作用が強いので、夜にたくさん食べると、夜中にトイレに行くことになりますので注意しましょう。
スイカは冷やしすぎるとおいしくないため、室温に戻してから食べるとよいです。さらに、キンキンに冷えたスイカは胃腸を冷やしすぎるため消化不良になります。
◆ 西紅柿・蕃茄(トマト):熱をおさめ、消化を促進する
**食材の解説**
中医学では、夏には赤い食材をとるとよいとされています。トマトはその代表例で、夏の養生にかかせない効能がたくさん含まれています。
トマトには、渇きを抑える効果、からだの余分な熱を収め暑気あたりを解消する効果、食欲を高め食欲を促進する効果、血中の熱をおさめ解毒する効果、などがあります。
現代の栄養学からみても、抗酸化作用・抗ガン作用があるとされるリコピン、毛細血管を丈夫にするビタミンP、ビタミンC、カリウムなど多くのビタミン、ミネラルなどを含みます。
トマトもからだを冷やす作用が強いため、寒い時期や冷え性の方は控えた方がよいでしょう。また、からだに水分をためる効果が強いので、胃腸の弱い方やむくみやすい方は注意しましょう。
青く未熟なトマトには、ソラニンという毒が含まれているので、よく熟したものを食べるようにしてください。未熟なものは、太陽に当てておくと赤く熟してきます。リコピンは皮に多く含まれるので、抗酸化作用を期待するときは皮ごと食べた方がよいでしょう。
スイカとトマトのジュース
<材料> (1人前)
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トマト(大) ・・・・ 1個
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スイカ ・・・・ 250g
※ 分量は目安です。同じくらいの分量が目安ですが、スイカが多い方が飲みやすいでしょう。
<作り方>
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トマトの皮を湯むきし(または包丁でむき)、適当な大きさに切る
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スイカの皮をむき、適当な大きさに切る
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ジューサーにかけ、あみでこす
※ お好みで塩やレモンの果汁、砂糖を加えてもよいでしょう。
☆☆ 過去の『夏の薬膳』レシピ☆☆