焼き林檎とイチジクのクリームチーズ 秋の薬膳
土用は胃腸が弱る期間なので甘いものは控えめが肝腎。
とはいえおいしいものが多い季節。
林檎とイチジクの自然の甘みをデザートで取り入れてください。
“土用”とは、季節を完成させて次の季節にバトンタッチする準備期間。
この時期は、東洋医学における脾、消化器官が疲れやすい時期です。
甘いものや冷たいもの、生ものが多くなると、消化機能が落ちて風邪をひきやすくなったりしがちな時期です。
特にこの時期体調を崩す方に、
「甘いものはしばらく控えた方がよいですよ」
とお伝えすることがあります。
すると非常に残念なお顔をされることが多いです。
しかしお伝えしているのは、あくまで“控えめに”ということ。
お友達とカフェにいってデザートを楽しんだり、たまに好きなお店でケーキを買ったり、というものまですべてやめなければいけないということではありません。
よくよく患者様のお話を聞いてみると、何となく食べている甘いものが多いようです。朝は時間がないのでコンビニで買った菓子パンで済ませ、
仕事をしながらチョコレートを食べ、
少し疲れたなとカフェで甘いカフェラテを飲み、
お夕飯の後に習慣としてアイスクリームを食べ、…
というパターンではないでしょうか?
せっかくの甘くおいしいものも、何となく、で無駄に食べてしまったら台無しだと思います。
上手に使えば、甘いものは場の空気を和ませてくれたり、気持ちを穏やかにしてくれるものです。
甘いものと上手につきあって、体調を崩さないようにしてください。
焼き林檎とイチジクのクリームチーズ
<食材のポイント>
◆ 林檎(りんご):肺や腸を潤す、胃を養う
**食材の解説**
林檎が赤くなると医者が青くなる、
ということわざがあるように、林檎は果物の中でもさまざまな効用があります。
東洋医学的には
- 体や肺を潤す
- 熱を取りイライラを収める
- 食欲を増し二日酔いを解消する
といった効果があります。
林檎は整腸作用と通便作用の両方の作用があるので、便秘の人でも下痢の人でも向く食材です。
果物のほとんどは体を冷やす性質ですが、果物の中でも温州みかん、ぶどう、林檎は体を冷やす作用が強くないので、冷え性の人でも食べやすいものです。
しかし、最近の果物は甘いものが多く、甘みが強いものは冷やす作用が強くなると考えてよいです。
甘みだけではなく、酸味とのバランスがとれたものを選ぶとよいと思います。
1978年に出された『食物ことわざ事典』で林檎に関することわざのコラムの末尾に、
「最近はバナナなどの甘いくだものに押され、林檎を食べる人が少なくなり、青森辺りではりんご園をつぶす農家などが多くなっています。酸味のあるものより甘味の多いものをうまいと感ずるようになった一例で、日本人の食味感覚が子ども舌になってきた証拠と言えましょう。」
とあり、この頃からすでに甘みを求める日本人の姿が伺えます。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ イチジク:胃腸を丈夫にする、肺を潤す、解毒する
◆ (クリーム)チーズ:肺や腸を潤す
◆ くるみ:肺を温める、腸を潤す
<材料>
-
林檎(大) ・・・・ 1/2個
-
イチジク ・・・・ 1個
<作り方>
-
林檎は芯と皮をむき、1センチ程度に切る。イチジクは皮をむき、8等分にする。クルミは粗く砕いておく。
-
耐熱容器に林檎とイチジクを並べる。温めたトースターかオーブン(200度程度)で、林檎とイチジクがしんなりするまで10分程度焼く。
*** 秋におすすめの薬膳レシピ ***
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鮭ときのこの炊き込みごはん 秋の薬膳
秋は過ごしやすい気候なので心身ともに補っておくことが大切。
実りの秋を迎えておいしい食べ物もたくさん食卓に上ります。
炊き込みごはんはたくさんの食材を一度にとれるので忙しい人でもできる薬膳です。
実りの秋、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋、…
とさまざまに形容される秋ですが、秋は四季の中でも気候が穏やかで過ごしやすい時期です。
秋分の頃は、秋も半ばとなり昼夜が同じ長さになり、陰陽が平衡する時期です。
心身ともに安定しやすい時期ですので、この時期にしっかり精気を養い、冬に備えておくとよいです。
しっかりと栄養のあるお食事をすることも大切ですが、五感器を養うことも気の栄養になります。
- お食事を彩り豊かにする
- お気に入りの食器を使う
- 香りのよいものを取り入れる
と工夫するだけでいつものお食事が楽しくなります。
また、よい音楽に触れたり、好きな絵画をみたり、空気のよいところで紅葉を楽しんだり、というのもよいでしょう。
少しずつ秋が深まり寒さも増してくると気持ちもブルーになりがちですが、日々に楽しみを見いだすことで心身ともに充実することができます。
鮭ときのこの炊き込みごはん
<食材のポイント>
◆ 粳米(うるちまい):気を増す、胃を養う
**食材の解説**
秋になると待ち遠しいのが新米。
炊きたてのごはんはそれだけでもご馳走になるほどおいしいものです。
稲(いね)の語源は、
「命(いのち)の根」、
「息(いき)の根」
の意と言われています。
江戸時代の本、『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』には、
「五臓を補い気血を益し、百病を治し、人間に一日もなくてはならぬものである。」
とあり、いかに重視していたかがわかります。
東洋医学的には、
- 胃腸を丈夫にして力をつける
- 消化吸収能力を回復させる
- ストレスやのどの渇きを解消する
- 下痢を止める
といった効果があります。
消化が良くない人はおかゆにするのもよいです。
薬膳でもおかゆは多種多様なレシピがあり、組み合わせる食材によってさまざまな効能を発揮します。
また、お米にはレジスタンススターチと言い食物繊維の用な働きをする作用もあります。
極端に炭水化物を抜くと便秘になることもあるので気をつけましょう。
栄養面では、ミネラル・ビタミンを多く含む玄米の方が優れていますが、消化が良くないので胃の弱い人は白米や胚芽米などの方がよいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 鮭:気血を養う、気血を巡らす、お腹を温める
◆ きのこ:気を補う、通便を促す
◆ しそ:気を巡らす、解毒する、お腹を温める
◆ 白ごま:肺や皮膚を潤す、通便を促す
<材料>
-
白米 ・・・・ 2合
-
鮭 ・・・・ 2切れ
-
しめじ ・・・・ 1/2株
-
えのきだけ ・・・・ 1/2株
-
しいたけ(中) ・・・・ 2個
-
酒 ・・・・ 大さじ2
-
醤油 ・・・・ 大さじ3
-
しそ ・・・・ 適量
-
白ごま ・・・・ 適量
<作り方>
-
白米は水で研ぎ、30分〜1時間浸水する。
-
鮭は食べやすい大きさに切り、酒(分量外)をふりしばらくおく。
-
きのこは石突をとり、食べやすい大きさに切る。少量の油をフライパンにひき、しんなりするまで炒める。
-
炊飯器に白米をいれ、酒、醤油をいれ、2合の分量まで水を入れる。余分な水分をキッチンペーパーでふいた2と3を入れ炊く。
-
炊きあがったら鮭の皮を取り、全体を混ぜる。お椀に盛り、千切りしたしそと白ごまをのせる。
*** 秋におすすめの薬膳レシピ ***
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はちみつレモン寒天 夏の薬膳
夏の暑さ対策にはおやつもひと工夫。
寒天は江戸時代から食べられている暑気払いにぴったりの食材です。
レモンとはちみつを加えて、口の渇きも抑えてくれるさっぱりとした寒天です。
夏の土用と言えばうなぎ、と思っていらっしゃる方も多いですが、土用はいろいろと気をつけたいことがあります。
季節の最後の期間なので、どうしてもその季節の疲れが出やすくなります。
夏の土用はもっとも暑い時期ですので、暑さ負けをしていたり、熱帯夜で寝不足になったりしています。
また、土用の「土」は五行では「脾」、つまり消化器官が割り当てられおり、胃腸にも負担がかかる季節です。
胃腸が苦手なのなものは、湿気を呼ぶものです。
代表的なものは、
- 冷たいもの
- 甘いもの
- 生もの
です。
朝から暑くて食欲がないので、冷たい牛乳に果物だけ。
暑い昼間にはアイスクリームを食べて、ジュースを飲んで、食欲がないから夜はお刺身にビール、あとはきゅうりとトマトくらい。
寝る前にもう一本アイスクリーム…
といった生活をしていると、ますます食欲が落ちてしまいます。
暑いので口当たりのいいもの、さっぱりしたものが欲しくなりますが、温度が低くて甘いものばかりだと、胃に湿気を呼び込み食欲不振となり、夏バテとなってしまいます。
夏こそしっかりお食事をとってほしいとは思いますが、せめて食欲が落ちている感覚がある時だけでも、冷たいもの、甘いもの、生ものは控えめを心がけていただければと思います。
はちみつレモンの寒天
<食材のポイント>
◆ 天草(てんぐさ):暑気あたりを予防する
**食材の解説**
寒天や心太(ところてん)の原料の天草は海藻の一種です。
ミネラルや食物繊維が豊富で、ダイエット食品としても用いられることも多い食材です。
心太の歴史はずいぶんと古く、平安時代には中国から伝わって食べられていたようです。
寒天は、江戸時代に発明され、心太を寒い日にそのままにしていたところから発見されたと言われています。禅寺でも使われるようになり、隠元禅師が「寒晒しのところてん」から「寒天」と名付けられたようです。
東洋医学的には、
- 上半身、特に胸や胃の熱をとる
- 口の渇きを癒す
- 暑気あたりを改善する
- 酒を解く
といった効果があります。
江戸時代の『本朝食鑑』には、
「当世(ちかごろ)、夏月には一般にこれを食べて能(よ)く暑(あつけ)を消す」
とあり、暑気払いに食されていたようです。
夏のおやつには心太や寒天を食べて、涼をとるのも夏バテ予防によいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ はちみつ:からだを潤す、元気をつける
▶︎ 詳しくは
はちみつのアメ ー気軽に薬膳①ー - 薬膳ごはん yakuzen gohan
◆ レモン:暑気あたりを予防する、口の渇きを抑える
<材料>
-
水 ・・・・ 400ml
-
粉寒天 ・・・・ 4g
-
レモン汁 ・・・・ 大さじ1・1/2
-
はちみつ ・・・・ 大さじ3
-
レモン ・・・・ 適量
<作り方>
-
鍋に水と粉寒天を入れ、火にかけよく混ぜる。沸騰して全体が透き通るまで火にかける(3分程度)。
-
1の火を止めてから、はちみつとレモン汁を加え、型に流す。
-
2がかたまりはじめたら、レモンの薄切りを表面にのせる。粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やす。
*** 夏におすすめの薬膳レシピ ***
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きゅうりとしらすの梅干しごはん 夏の薬膳
夏は湿気や熱さで食欲が落ちぎみになりますがそんな時こそ食養生が大切。
梅干しは日本の夏には欠かせないものの一つ。
ごはんと一緒に炊くことで酸味もまろやかになり食べやすくなります。
夏は身体の水分を入れ替える時期と考えます。
しっかり水分補給をしつつ、汗をかくことで身体の中から水分をきれいなものに入れ替えていきます。
このお話をすると、
『水分はどれくらい飲むとよいですか?』
『たくさん飲んだ方がよいんですか?』
と質問されます。
答えは、人によって量が違うので摂るべき水分の明確な量はありません。
それぞれの人によって、体重、活動量、内蔵の代謝機能などまちまちです。
例えば、体重85kgの建築現場で働く男性と、体重45kgのオフィスワークの女性では摂るべき水分量は全く異なります。
もし水分をたくさん摂った方がよいと思い、無理にたくさん飲めば、胃腸で吸収できない水分によって胃酸が薄まり、胃腸の働きが落ちてしまいます。
東洋医学では、『胃内停水(いないていすい)』と言い、湿気が消化器官にとどまり、うまく働かなくなっている状態を指します。
摂取した水分の量が多すぎないか確認するには、お小水の色をみていただくのがわかりやすいかと思います。
- 透明 → 水分の摂取量が多いと考えられます
- 薄い緑茶の色 → 適量
- 濃いオレンジ色 → 水分の摂取量が少ないと考えられます
夏場は水分の量が少ないと熱中症になることがありますし、多すぎると夏バテの原因になりますので、日頃より気をつけておくことが夏の不調の予防となります。
きゅうりとしらすの梅干しごはん
<食材のポイント>
◆ 梅干し(うめぼし):熱を取り渇きを癒す、胃腸の調子を整える、解毒する
**食材の解説**
梅雨になると梅が一斉に並び始めます。
梅は、梅干しに始まり、梅シロップ、梅酒、梅煮など様々な加工品がありますが、夏を乗り切る知恵がたくさんつまっているものです。
梅干しの効能としては、
- 口の渇きを収める
- 余分な熱をとる
- 胸のつかえをとる
- 下痢を止める
- 喉の痛み・口内炎を抑える
- 殺菌・抗菌作用
- 酒の酔いをとる
など多種多様な効能があり、塩漬けにし、発酵食品とすることで生の梅では得られない効能が得られます。
中国では梅と言えば主に烏梅(うばい)が用いられ、梅を薫製にしたもので生薬としても使われます。
『梅は食うとも核食うな』ということわざがあるように、青梅の種にはアミグダリンが含まれており、酵素分解によって青酸になります。
青梅にはこの青酸が含まれているため、食べ過ぎると腹痛を起こします。
一説には、梅干しは梅酢を摂るための副産物で、梅酢は酸が非常に強いため金メッキをするために使われていたとも言われています。
また、中世から兵糧としても用いられていたようで、その殺菌効果や疲労回復効果は昔から薬としても使われていたことがうかがえます。
ごはんに梅干しを入れて炊いたり、お弁当に入れたりしておくと、殺菌・抗菌作用でごはんも傷みにくくなるので、夏場のお弁当にもおすすめです。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ きゅうり:からだの水分代謝を調整する、余熱をとる
▶︎ 詳しくは
きゅうりの梅肉あえ 夏の薬膳③ - 薬膳ごはん yakuzen gohan
◆ しらす:気血を補う、元気をつける、筋骨を丈夫にする
◆ しそ:気の巡りをよくし胃腸の調子を整える、解毒する
<材料>
-
白米 ・・・・ 2合
-
梅干し(大) ・・・・ 1個
-
きゅうり ・・・・ 1本
-
しらす ・・・・ 40g
-
しそ ・・・・ 8枚程度
-
塩 ・・・・ 小さじ1/4
<作り方>
-
白米を梅干しを入れて分量通りの水加減で炊く。
-
きゅうりは薄い輪切りにし塩揉みをして5分ほどおき、水分をしぼっておく。しそは千切りにして水にさらした後、水分を切っておく。
-
1が炊きあがったら、梅干しをくずすようにしてよく混ぜ、2のきゅうりとしらすを混ぜる。お椀に盛りしそを添える。
**** 夏におすすめの薬膳レシピ ****
アスパラとそら豆のマスタードポテト 夏の薬膳
今年は初夏から湿度も高め。
アスパラや豆類など初夏の食材には水分代謝をスムーズにしてくれるものが多くあります。
さっぱりとしたポテトサラダで、胃腸を元気にし湿気対策をしてくれるレシピです。
日本の夏は湿気が多く、熱さと湿気の両方の対策をすることが非常に大切です。
東洋医学では、悪さをする湿気のことを“湿邪(しつじゃ)”と呼びますが、湿邪には外界から受けるものと、身体の中で発生するものとがあります。
湿邪の多くは身体の中で起こるもので、原因のほとんどは飲食の不摂生によるものです。
身体の中に湿気を溜めるものとしては、
- 食べ過ぎ
- 飲み過ぎ
- 甘いものが多い
- 冷たいものの食べ過ぎ
- 生ものの食べ過ぎ
- 脂っこいものや味の濃いものの食べ過ぎ
などです。
梅雨の時期や夏の時期に身体がだるい、頭が重い、食欲がない、むくみやすいなど不調がある方は、食べ物も見直してみるとよいでしょう。
湿気を出してくれる食べ物としては、
- 瓜科のもの(きゅうり、冬瓜など)
- 豆類(あずき、そら豆、インゲン豆など)
- トウモロコシ
- ハトムギ
- 海草類(わかめ、のりなど)
などがありますので、積極的にとるのもおすすめです。
アスパラとそら豆のマスタードポテト
<食材のポイント>
◆ 空豆・蚕豆(そらまめ):胃腸の働きを高め、余分な水分を排出する
**食材の解説**
さやが天に向かって伸びるのでそらまめ(空豆・天豆)と呼ばれたり、花の姿が蛾(ひいる・蚕の羽化したもの)に似ているためかいこ豆(蚕豆)と呼ばれたり、様々な呼称があります。
世界各地で食べられており、4000年以上も前から食用として栽培されていたようで、日本には奈良時代に伝えられたとされます。
私たちが茹でて食べるのは未成熟の実で、完熟のものは黒っぽくなり煮豆やおたふく豆などに用いられます。
東洋医学的には、豆の部分に、
- 胃腸の回復
- 余分な水分を排出
といった効果があります。
他に、花と葉には止血効果、茎には下痢を止める効果や止血効果、殻は利尿効果があるとされます。
また、そら豆には五臓を利する効果があるとされており、誤って針を飲み込んでしまった場合、そら豆とニラを煮てたくさん食べると排便される、と古い文献には記されています。
栄養素としては、カリウム、ミネラル、ビタミンB群を豊富に含んでいます。
そら豆に限らず豆類は消化しにくいため、胃腸が弱い方は食べ過ぎには注意しましょう。
腎炎の方も負担がかかるので控えめにした方がよいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ アスパラ:からだの水分代謝を調整する、余熱をとる
◆ じゃがいも:胃腸を丈夫にする、元気をつける
<材料>(2人分)
-
アスパラガス ・・・・ 1/2束
-
そら豆 ・・・・ 1/2袋
-
じゃがいも(中) ・・・・ 2個
-
マスタード ・・・・ 大さじ1+1/2
-
オリーブオイル ・・・・ 小さじ1
-
塩 ・・・・ 小さじ1/2
<作り方>
-
そら豆を茹で、皮をむき半分に割る。アスパラガスを茹で、食べやすい大きさに切っておく。
-
じゃがいもを蒸し、皮をむく。熱いうちにざっくりとつぶし、マスタード、オリーブオイル、塩を加えて混ぜる。
-
2に1を加えて混ぜる。
**** 夏におすすめの薬膳レシピ ****
人参とクコの実のラペ 春の薬膳
春におすすめの薬膳食材の一つクコの実。
買ったもののどう使えば良いかわからず持て余している方も多いようです。
クコの実と人参と組み合わせた、目や身体を潤す春におすすめのレシピです。
春は肝臓の季節ですが、その肝臓の状態を把握するのにわかりやすい部位が東洋医学では“目”とされています。
肝臓は血液を蓄えておく部位ですが、その血液が少なくなると
- 視力の低下
- 夜盲症
- ドライアイ
など目の症状も出てきます。
東洋医学では、血液のもっともきれいな上澄みの部分のことを“精血(せいけつ)”と言い、この精血が目に行くことでものが見えると考えています。
しかし、現代の生活は昔以上に目を良く使うことが多いです。
例えば、テレビやパソコン、スマートフォンを使う頻度が高いと精血を消耗しがちです。
また、ストレスが多かったり、頭を使う作業が多かったりすると血液全体も減りやすく、精血も減りやすくなります。
血液は毎日生産され破壊されていますので、毎日血液の原料を供給することが大事です。
更に、血液のリニューアルには5〜6ヶ月程度かかると言われます。
目の症状に思い当たる方や貧血の人は、継続的に血液を補うものを摂ると良いでしょう。
人参とクコの実のラペ
<食材のポイント>
◆ 枸杞(クコ):肝腎を補う、目に良い
**食材の解説**
クコの実(ゴジベリー)は薬膳食材の代表格で、スーパーフードとしても近年取り上げられましたので知っている方も多いでしょう。
東洋医学的には、五臓の肝と腎を補うとされ、肝腎不足による腰のだるさや男性不妊、めまいを改善するとされています。
また、貧血を改善し視力の低下などの改善や肺を潤し咳を止めるとされています。
漢方薬にも用いられ、眼病などに使われる杞菊地黄丸などにクコの実は使われています。
栄養学的には、ルチン、タンニンなどのポリフェノール、ビタミンC、ゼアキサンチン(色素)など強い抗酸化作用をもつものが豊富で、まさにアンチエイジング食材と言えるでしょう。
クコは実だけでなく、葉っぱは春の新芽を山菜として食べたり、お茶(枸杞葉 くこよう)として飲んだりします。
根や樹皮(地骨皮 じこっぴ)は微熱やほてり、のぼせの症状に用いられる漢方薬として使われています。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 人参: 目の乾燥を防ぐ、食欲不振を解消する
◆ くるみ: 腎を補う、腸や肺を潤す
<材料>(2人分)
-
人参 ・・・・ 200g
-
くるみ ・・・・ 好みの量
-
クコの実 ・・・・ 大さじ2
(ドレッシング)
-
マスタード ・・・・ 小さじ1
-
はちみつ ・・・・ 小さじ1/4
-
塩 ・・・・ 小さじ1/2
-
レモン汁または米酢 ・・・・ 大さじ1
-
オリーブオイル ・・・・ 大さじ2
<作り方>
-
人参は薄くスライスし千切りにしておく。
-
マスタード、はちみつ、塩をよく混ぜ、レモン汁を混ぜる。オリーブオイルをよく混ぜる。
- 1とクコの実、粗く砕いたクルミを2とよくまぜ、30分以上置く。
*** 春におすすめの薬膳レシピ ***
豆と菜の花のツナサラダ 春の薬膳
寒さがあっても暦の上では春。春の養生もそろそろ始める時期です。
春はしっかりタンパク質を摂る時期。
市販のツナや蒸し大豆を使えば簡単なので春の常備菜にもおすすめです。
春は肝臓に負担がかかりやすい季節ですが、肝臓は血液をストックしておく大事な場所です。
ですので、春はいつも以上に貧血にならないようしっかり鉄分補給をしつつ、血液になりやすいように同時にタンパク質も摂ることが必要です。
貧血の方は非常に多く、当院で受診される女性の多くに貧血がみられます。
また、男性でも貧血の方が最近は多くなってきています。
※東洋医学における貧血(血虚 けっきょ)の症状については、こちらをご覧下さい。
貧血になりやすい生活スタイルとしては
- 動物性タンパク質を摂っている量が少ない
- 頭脳労働が多い
- パソコンやスマートフォンなど目を使う作業が多い
- 寝る時間が遅い
- 考え事が多い
- 筋トレやマラソンなど消耗の激しいスポーツをしている
などが挙げられます。
現代の方の生活スタイル自体、どうしても血液の消耗が激しくなってしまいます。
どんな方でも春は血液が減りやすい時期ですので、ぜひ鉄分を意識的に取るよう心がけてみてください。
また、貧血が進んでいる方は何をやるのも億劫になっていることが多いです。
まずは疲れない範囲で鉄分補給できるよう、市販品や外食などもうまく活用しながら鉄分補給をすると良いでしょう。
※動物性の鉄分と植物性の鉄分についてはこちらをご覧下さい。
豆と菜の花のツナサラダ
<食材のポイント>
◆ 大豆・黄大豆(だいず):胃腸の機能を高め余分な水分を出す
**食材の解説**
納豆や豆腐、豆乳、味噌、醤油など多種多様な加工品の元になる大豆は、植物性タンパク質が豊富な食品で、畑の肉とも言われることがあります。
諸説あるようですが、中国が起源と言われており、黄・白・黒・赤・青など様々な色の大豆があります。
東洋医学的には、
- 胃腸の機能を助け、腸を整える
- 余分な水分を出しむくみを解消する
- 膿や毒を出す
といった効能があります。
日本で江戸時代に書かれた文献には、日本で用いられる大豆は黄白大豆が主で、『気分をおだやかにし、腹中を寛(くつろ)げ、腸に良い。』とあります。
大豆には、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンも含まれており、更年期ののぼせや骨粗しょう症の予防や改善にも効果があります。
大豆の利尿作用はタンパク質が多いことによるものなので、腎炎やお小水の出が悪い人のむくみには効果がありません。
また、大豆には造血作用があるともされていますが、その内容を読むとレバーと一緒に煮込むこと、とされていますので注意が必要です。
なお、豆類は消化しにくくお腹も張りやすいので食べ過ぎには注意してください。
大豆をそのまま食べるよりも納豆や豆腐などの方が消化吸収しやすいです。
様々な大豆加工品もありますので、上手に活用しながら取り入れるとよいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ ツナ(まぐろ): 気と血を補う
◆ 菜の花: 炎症を取り解毒する
<材料>(2人分)
-
蒸し大豆または茹で大豆 ・・・・ 100g
-
ツナ(まぐろ) ・・・・ 50g
-
菜の花 ・・・・ 1/2束
-
マスタード ・・・・ 大さじ1
-
塩 ・・・・ 小さじ1/3
-
レモン汁 ・・・・ 小さじ1/2〜1
<作り方>
-
菜の花を茹で、食べやすい大きさに切る。
-
マスタード、塩、レモン汁をよく混ぜ、1とツナ、大豆を混ぜて盛りつける。
*** 春におすすめの薬膳レシピ ***
海老と韮の中華風葛スープ 冬の薬膳
寒に入ると寒さも一段と増してきて寒さから風邪をひいてしまう人も多いです。
葛は身体を温めるものと一緒にとると風邪予防にもなります。
身体を温める海老と韮を使った葛のスープで芯から暖まり、風邪を予防しましょう。
冬場は風邪をひく人も多いと思いますが、風邪のときに葛根湯を飲むという人もいらっしゃると思います。
また、他の漢方薬は知らなくても、葛根湯だけは知っている、飲んだことがある、という方も多いでしょう。
落語の小咄にでてくる葛根湯医者のように、何でも葛根湯、とするのはもちろん藪医者だと思いますが、風邪ならすべて葛根湯、とするのも漢方薬があまり効かない、と言われてしまう由縁かと思います。
葛根湯が風邪に効果があるのは、風邪をひき始めたな、というタイミングで飲んだ場合です。
風邪は3日もすれば治ってしまいますので、背筋に寒気を感じはじめたときや何となく熱っぽくなったり、身体がだるくなったりし始めたタイミングが風邪をひき始めた時、すなわち葛根湯を飲む時期です。
何日も寝込んだ後や、熱が下がり咳や鼻が残ったりしているときに葛根湯を飲んでも効果がありませんし、長く飲んでも効果はありません。
風邪には大別すると
- 熱:免疫反応で身体に熱が出ているもの
- 寒:寒さに負けて身体の免疫機能が落ちているもの
があります。
風邪の寒熱によりどの食材がよいのか、どの漢方薬がよいのかを選ぶ必要があるのですが、葛根湯は寒熱どちらのタイプでも使えるものなので、どの風邪のタイプでもおおよそ効果があるという利点があり、漢方に詳しくない人でも比較的使いやすい漢方薬であるため広く風邪薬として使われているのだと思います。
また、葛根湯は肩こりや筋肉痛などにも効果があります。
風邪に用いる漢方薬は葛根湯以外にも、
- 麻黄湯
- 小青竜湯
- 柴胡桂枝湯
- 銀翹散
- 麦門冬湯
などたくさんの種類がありますが、どの漢方薬を用いる方がよいか、より詳しく診断をして漢方薬を選ぶ場合には漢方医などに任せた方がよいでしょう。
海老と韮の中華風葛スープ
<食材のポイント>
◆ 葛、葛根(くず、かっこん):風邪を発散する
**食材の解説**
葛根湯に含まれている生薬の一つが、葛根(かっこん)、くずです。
葛の根からデンプンを取り出したものが本葛で、葛湯や葛餅、葛きり、料理のとろみ付けにも用いられます。
葛根は、
- 初期の風邪を発汗させ発散させる
- 上半身のこわばりをとる
- お酒などの解毒をする
などの効能があります。
ただし、風邪を発散させる作用は葛だけでは弱いので、もし風邪をひいたときに使う場合はねぎや生姜、シソ、豆鼓、シナモンなど発散させるものを一緒にとると良いです。
葛をスープや葛湯にするととろみが出るので、冷めにくく身体も温まりやすいです。
少し高いものではありますが、ねぎや生姜、シソ、シナモンなど身体を温めてくれるものと一緒にとれば風邪予防にもなりますので、ぜひ取り入れてみてください。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ ニラ: 身体を温める、血流を良くする ▶︎ 詳しい食材の説明はこちら
◆ えび: 腎を補い、冷えをとる ▶︎ 詳しい食材の説明はこちら
◆ 生姜:身体を温める、解毒する
◆ 黒胡椒:お腹を温める、気の巡りを良くする
<材料>(2人分)
-
むきえび ・・・・ 100g
-
ニラ ・・・・ 50g
-
本葛 ・・・・ 大さじ1
-
生姜 ・・・・ 少々
-
中華スープのもと ・・・・ 小さじ2
-
酒(あれば紹興酒)・・・・ 大さじ1
-
塩 ・・・・ 少々
-
黒胡椒 ・・・・ 少々
- 水 ・・・・ 400ml
<作り方>
-
葛粉はあらかじめ少量の水(分量外)で溶かしておく。えびは背わたがあれば取り除いておく。生姜は千切りにする。ニラは1cmくらいに切る。
-
鍋に水と生姜、中華スープのもと、酒を入れ、煮立ったらえびをいれる。えびに火が通ったら、ニラを入れる。
-
2に水で溶いた本葛を入れ、とろみをつける。塩、胡椒で味を整える。
*** 冬におすすめの薬膳レシピ ***
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長ねぎの豚肉巻き 冬の薬膳
寒さも一段とまして風邪も流行る時期です。
寒さ対策も大切ですが、風邪予防には甘いものを控えることも大切。
甘さ控えめに作る肉巻き、長ねぎを使った風邪に負けないレシピです。
正月が過ぎるともっとも寒い時期に突入すると同時に、冬の土用にも入り冬という季節を完成させて春に移行する時期になります。
この頃、寒さや乾燥から来る風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどが大流行する時期でもあります。
また早い人だと花粉症の症状が出始める時期でもあります。
どれをとっても大敵なのは甘いもの。
ケーキやクッキー、アイスクリーム、チョコレート、菓子パン、甘いコーヒー飲料、ジュース…
などなど日常的に甘いものを食べることが簡単なので、朝食やおやつ、仕事や勉強をしながらつまんだり、食後に食べたりと習慣化している方も多いでしょう。
適量の甘いものは確かに気持ちをやわらげ、ストレスを緩和させてくれますが、あまりに多いと胃腸の働きが落ちてしまいます。
東洋医学では甘いものは、胃腸に湿気をため、消化不良や栄養吸収の妨げになると考えます。
また、胃腸だけでなく内蔵全体を冷やしてしまい、どちらも免疫力の低下につながり、風邪をひきやすくなったり、花粉症などのアレルギー症状を引き起こしやすくなります。
特にジュースやアイスクリームは物理的にも冷たいのでより胃腸の機能が落ち、内蔵を冷やしてしまいます。
食事でもお砂糖を使わずにすることも一つです。
みりんや甘酒など発酵食品の甘さは胃腸に負担をかけないのでおすすめです。
せめて冬の土用の期間(2018年は1月17日〜2月3日)だけでも、いつもより甘いものを控えて風邪やインフルエンザにかからないよう過ごしてみてください。
長ねぎの豚肉巻き
<食材のポイント>
今回のレシピで使っている食材
◆ 長葱:冷えから来る風邪を発散させる、冷えをとる ▶︎ 食材の説明はこちら
◆ 豚肉:身体を潤す、空咳を止める、腎を補う ▶︎ 食材の説明はこちら
◆ 黒胡椒:お腹を温める、気の巡りを良くする
<材料>(2人分)
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豚肉 ・・・・ 180g
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長ネギ ・・・・ 1本
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エリンギ ・・・・ 50g
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片栗粉 ・・・・ 適量
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塩 ・・・・ 少々
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黒胡椒 ・・・・ 少々
(たれ)
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醤油 ・・・・ 大さじ1
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みりん ・・・・ 大さじ1
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酒 ・・・・ 大さじ1
<作り方>
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長ねぎは5cm程度に切りそろえ、半分に切る。エリンギも5cm程度にきる。
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長ねぎの間にエリンギをはさみ、豚肉で巻き、片栗粉をまぶす。
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油をひいたフライパンで2を焼き目がつくまでまんべんなく焼いたら、たれをかけて全体を絡める。塩、胡椒で味を整える。
**** 冬におすすめの薬膳レシピ ****
蓮根の鶏皮炒め 冬の薬膳
秋冬は乾燥し、肌も潤いがなくなりがち。
東洋医学には以蔵補臓という考えがありますが、肌が乾燥しやすい時期は鶏の皮がおすすめ。
適度に脂質を摂ることで乾燥から体を守ってくれます。
冬至に向けいよいよ日も短くなり、本格的な冬の寒さになってきました。
今年はいつも以上に寒く、冷え対策を日頃から行いたいものです。
空気も乾燥しているので、肌が乾燥してかゆくなったり、ささくれたりしている人もいるかと思います。
東洋医学では、皮膚がカサカサして荒れていたり、手指がひび割れていたりすると、免疫力が落ちており、そこから風邪やアレルギー物質が入ると考えます。
日常的に保湿クリームなど外から保護することも有効ですが、根本的には体の中からケアすることが大切です。
肌荒れ、特に乾燥には適度な脂質やぷるぷるした食感のものを取ることが大切です。
<肌の保湿にとりたいもの>
鶏や豚の皮、バター、ナッツ類、ごま、はちみつ、白きくらげ、
発酵食品、きのこ類 など
時々、鶏の皮や肉の脂身をすべて除く方がいらっしゃいますが、適度な脂質を取っておかないと皮膚も身体もカサカサに乾燥してしまいます。
秋冬の時期は適度に脂質もとるように心がけてください。
また、以臓補臓(いぞうほぞう)の考えからも、鶏や豚の皮、魚の皮などは食べた方が良いです。
発酵食品やきのこ類は腸内環境を良くするためにとりたいものです。
東洋医学では、肌と大腸はつながっていると考え、お通じを良くすることは肌のトラブルの改善につながります。
花粉症の方は、花粉も指先から入ってきますので、今の時期からしっかりとケアしたいものです。
蓮根の鶏皮炒め
<食材のポイント>
◆ 鶏皮(とりかわ):肌に潤いをだす
**食材の解説**
肌の美容に良いとされます。
鶏の皮膚組織は水分を除くと70%がコラーゲンです。
コラーゲンは、
- つややかな皮膚や髪の毛をつくる
- 軟骨や細胞、組織をつなぎ、機能の活性を促す
- 目を良くする
- 老化を防止する
などの効能があります。
一方で、皮の下に脂肪が多くついていますので、 皮は食べない、という方もいらっしゃいますが、余分な脂肪はともかく皮は上手に利用してほしいものです。
余分な脂肪を除いて調理したり、スープで使う時は一度煮出してから冷やし、表面に固まった油だけ取り除くという方法もあります。
コラーゲンをサプリなどでとるよりは、食物からとった方がおいしく、吸収も高まりますので、鶏も皮まで無駄にせず使ってみてください。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 蓮根: 胃腸を丈夫にする、余分な熱をとりながら血行を良くする
◆ 黒胡椒:お腹を温める、気の巡りを良くする
<材料>(2人分)
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鶏皮 ・・・・ 50g
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蓮根 ・・・・ 70g
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塩 ・・・・ 小さじ1/3
- 黒胡椒 ・・・・ 少々
<作り方>
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鶏皮は食べやすい大きさに切る。蓮根は薄めの乱切りにする。
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フライパンを熱し、鶏皮を油が出て焼き目がつくまでよく炒める。
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2に蓮根を入れて炒め、火が通ったら塩、黒胡椒で味付けをする。
**** 冬におすすめの薬膳レシピ ****
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