きゅうりとしらすの梅干しごはん 夏の薬膳
夏は湿気や熱さで食欲が落ちぎみになりますがそんな時こそ食養生が大切。
梅干しは日本の夏には欠かせないものの一つ。
ごはんと一緒に炊くことで酸味もまろやかになり食べやすくなります。
夏は身体の水分を入れ替える時期と考えます。
しっかり水分補給をしつつ、汗をかくことで身体の中から水分をきれいなものに入れ替えていきます。
このお話をすると、
『水分はどれくらい飲むとよいですか?』
『たくさん飲んだ方がよいんですか?』
と質問されます。
答えは、人によって量が違うので摂るべき水分の明確な量はありません。
それぞれの人によって、体重、活動量、内蔵の代謝機能などまちまちです。
例えば、体重85kgの建築現場で働く男性と、体重45kgのオフィスワークの女性では摂るべき水分量は全く異なります。
もし水分をたくさん摂った方がよいと思い、無理にたくさん飲めば、胃腸で吸収できない水分によって胃酸が薄まり、胃腸の働きが落ちてしまいます。
東洋医学では、『胃内停水(いないていすい)』と言い、湿気が消化器官にとどまり、うまく働かなくなっている状態を指します。
摂取した水分の量が多すぎないか確認するには、お小水の色をみていただくのがわかりやすいかと思います。
- 透明 → 水分の摂取量が多いと考えられます
- 薄い緑茶の色 → 適量
- 濃いオレンジ色 → 水分の摂取量が少ないと考えられます
夏場は水分の量が少ないと熱中症になることがありますし、多すぎると夏バテの原因になりますので、日頃より気をつけておくことが夏の不調の予防となります。
きゅうりとしらすの梅干しごはん
<食材のポイント>
◆ 梅干し(うめぼし):熱を取り渇きを癒す、胃腸の調子を整える、解毒する
**食材の解説**
梅雨になると梅が一斉に並び始めます。
梅は、梅干しに始まり、梅シロップ、梅酒、梅煮など様々な加工品がありますが、夏を乗り切る知恵がたくさんつまっているものです。
梅干しの効能としては、
- 口の渇きを収める
- 余分な熱をとる
- 胸のつかえをとる
- 下痢を止める
- 喉の痛み・口内炎を抑える
- 殺菌・抗菌作用
- 酒の酔いをとる
など多種多様な効能があり、塩漬けにし、発酵食品とすることで生の梅では得られない効能が得られます。
中国では梅と言えば主に烏梅(うばい)が用いられ、梅を薫製にしたもので生薬としても使われます。
『梅は食うとも核食うな』ということわざがあるように、青梅の種にはアミグダリンが含まれており、酵素分解によって青酸になります。
青梅にはこの青酸が含まれているため、食べ過ぎると腹痛を起こします。
一説には、梅干しは梅酢を摂るための副産物で、梅酢は酸が非常に強いため金メッキをするために使われていたとも言われています。
また、中世から兵糧としても用いられていたようで、その殺菌効果や疲労回復効果は昔から薬としても使われていたことがうかがえます。
ごはんに梅干しを入れて炊いたり、お弁当に入れたりしておくと、殺菌・抗菌作用でごはんも傷みにくくなるので、夏場のお弁当にもおすすめです。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ きゅうり:からだの水分代謝を調整する、余熱をとる
▶︎ 詳しくは
きゅうりの梅肉あえ 夏の薬膳③ - 薬膳ごはん yakuzen gohan
◆ しらす:気血を補う、元気をつける、筋骨を丈夫にする
◆ しそ:気の巡りをよくし胃腸の調子を整える、解毒する
<材料>
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白米 ・・・・ 2合
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梅干し(大) ・・・・ 1個
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きゅうり ・・・・ 1本
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しらす ・・・・ 40g
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しそ ・・・・ 8枚程度
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塩 ・・・・ 小さじ1/4
<作り方>
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白米を梅干しを入れて分量通りの水加減で炊く。
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きゅうりは薄い輪切りにし塩揉みをして5分ほどおき、水分をしぼっておく。しそは千切りにして水にさらした後、水分を切っておく。
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1が炊きあがったら、梅干しをくずすようにしてよく混ぜ、2のきゅうりとしらすを混ぜる。お椀に盛りしそを添える。
**** 夏におすすめの薬膳レシピ ****