ゆり根と白きくらげのスープ 秋の薬膳①
中医学では、季節の特徴をそれぞれ表す言葉と、関係する臓器やからだの機能を示す、五行というのもがあります。
秋は、臓器は「肺」、特徴を「燥(そう)」、として表します。
秋になると乾燥して、空咳がでる、ということをうまく言い表しています。
薬膳、食養生でも秋には、肺の機能を高め、乾燥からからだを守ることが重要になります。
乾燥した空気によって、のどや鼻の粘膜も乾燥し、咳が出るカゼになる方も多い季節です。部屋の湿度調整ももちろんですが、からだの粘膜や乾燥を防ぐ機能を高めて、カゼをひかない食事を取り入れていくとよいでしょう。
また、のどや粘膜の乾燥を防ぐということは、すなわちからだの潤いを保ったり高めたりすることになります。のどや粘膜の潤いが増せば、同時にからだの表面の潤いも増すことになりますので、乾燥肌の対策にもなります。
なお、咳でもいくつかのタイプがあり、今回は、のどや鼻が乾燥して、口やのどが渇くような場合や、微熱があって空咳がでるようなタイプの症状にあう代表的な食材を選んでいます。
百合根(ゆりね)
ゆりの根っこで、秋から冬にかけて出回り、おいものようなホクホク感と上品なほんのりとした甘みがあります。
肺を潤し、咳をとめる効果があり、秋の乾燥から呼吸器の粘膜を守るのに優れた効果があります。また、精神を安定させる効果があります。
ただし、寒気を伴い、のどが渇かず、痰が出る場合には適しません。また、止血効果があるので、血液の循環が滞っている方にも適しません。
乾燥したものもありますが、生のものでもぬかと一緒に冷蔵庫などで保存すれば数ヶ月はもつようです。
白木耳・銀耳(しろきくらげ)
日本では黒きくらげの方が有名ですが、同じくキノコで、中華ではスープやデザートなどで用いられ、コリコリとした食感が特徴です。
気管と肺を潤し、空咳をとめる効果があります。また、胃を保護して唾液の分泌を促し、のどの渇きを納める効果もあります。
17種類のアミノ酸と豊富なミネラルを含み、美肌にも効果があることで知られています。また、19世紀までは野生のものしかなく、高い滋養効果から若さを保つために貴族が愛用するような大変高級なものでしたが、最近はスーパーでも手に入るくらい身近な中華食材となりました。
なお、水分代謝が悪い方などは控えめにした方がよいでしょう。
ゆり根と白きくらげのスープ
<材料> (2人前)
- ゆり根 ・・・・ 50g
- 白きくらげ(乾燥) ・・・・ 5g
- 水 ・・・・ 400ml
- 塩 ・・・・ 小さじ1/2
- 中華スープのもと ・・・・ 大さじ1
<作り方>
- 白きくらげを軽く水で洗い、水またはぬるま湯で戻す。戻したら、黄色くなっているいしづきや固い部分を取り除き、食べやすい大きさに切る。
- ゆり根を洗い、変色した部分を取り除き、大きいものは半分に切る。
- 沸騰したお湯に白きくらげ、ゆり根をいれ、中華スープのもとを入れ、5分ほど煮る。
- 塩で味を整える。
※ あまり煮るとゆり根も白きくらげも崩れてなくなってしまいます。