菊花のいなり寿司 秋の薬膳⑩
秋分も過ぎ、いよいよ本格的な秋の到来です。
9月9日の菊の節句でも用いられる菊はこの時期からぜひ取り入れてほしい薬膳食材の一つ。
のどの痛みや目の充血などによい菊花を甘酢漬けにし、いなり寿司にしました。
秋分は昼と夜の長さがほぼ同じになる時期。
自然の陰陽のバランスも穏やかですので、心身ともに穏やかに過ごしやすい時期です。暑さで夏の間はスポーツや外出する気になれなかった方も、この時期に空気や景色のきれいなところを散策したり、美術館巡りをしたりすることがおすすめです。
秋は春・夏で取り入れたものから余分なものを削ぎ落とし、冬に向け蓄えていく時期。
散歩やストレッチなど、軽い運動がオススメです。
また、秋は精神的にも養うと良い時期とされていますので、きれいな景色や文化的なものに触れるとよいでしょう。
一方で、この時期から気をつけたいのはのどの風邪。
日中はまだ暑さを感じるものの、朝夕は肌寒くなってきて、風邪の方も多くなってきました。
菊の花は、のどの痛みからくる風邪の予防などに良い食材で、薬膳でもよく使われます。
下ごしらえも簡単ですので、食卓の彩りも華やかになりますので、ぜひ取り入れてみてください。
菊花のいなり寿司
<食材のポイント>
◆ 菊花(きくか):熱を取る、解毒する
**食材の解説**
お刺身のツマ以外でお目にかかったことがないという方も多いかもしれません。
東北地方では比較的食べられているそうで、色鮮やかな花びらは実はさまざまな薬効があり、薬膳でも重宝される食材の一つです。
菊の花の薬効としては、
- 風邪による発熱、頭痛、咳、喉の炎症を抑える
- 頭がのぼせるような場合の目のかすみ、目の充血を抑える
- 吹き出物や皮膚の赤み・腫れをとる
などがあります。
風邪のひき始めの喉の痛み、のぼせによる頭痛・目の充血、高血圧の予防などに用いるとよく、目のかすみや充血に枸杞の実とあわせてお茶にする薬膳茶や杞菊地黄丸という漢方薬が有名です。
また、毛細血管拡張効果があるので、血圧降下作用があるとされます。
食用菊は、観賞用の菊を食用に選抜・改良したもので、シャキシャキとした食感で苦みが少なく、黄色やピンクのものがあります。
10月が最もよく出回り、秋のものは風味も香りも良いです。
菊花は中国では秋の養生の一つとしてお茶でいただくことが多いです。
他には、おひたし、あえもの、酢の物、お吸い物、天ぷら、サラダなどにして食べます。
生のままですと日持ちしませんが、甘酢漬けにすると日持ちするので秋の常備菜としておいておくのも良いです。
また、生のものだけでなくのし菊、干し菊など乾燥したものもあるので、のぼせやすい方や喉の痛みが出やすい方などは乾物でおいておくのもよいでしょう。
菊の節句と言えば、9月9日は重陽の節句で日本には平安時代に伝えられたと言われます。
霊が宿ると考えられていた菊を酒に浮かべて酌み交わし、邪気を払い、長寿を願ったそうで、菊の節句とも言われます。
重陽の節句の頃ですと出回る量もまだ少ないですが、お月見や行楽など秋の行事に一花そえるのもおすすめです。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 蓮根:胃腸の働きを良くする、身体や肺・皮膚を潤す
<材料>(菊花と蓮根の甘酢漬け)
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菊の花 ・・・・ 1パック
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蓮根 ・・・・ 7cm程度
(甘酢)
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酢 ・・・・ 200ml
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砂糖 ・・・・ 大さじ6
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塩 ・・・・ 小さじ1.5
<作り方>
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甘酢の材料をあらかじめ混ぜておく。
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菊の花は花びらだけむしり、熱湯で1分ほど茹でる。蓮根は薄いいちょう切りにし、酢を入れた熱湯にさっと通す。
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2の菊花と蓮根の水気を絞り、1の甘酢につける。
<材料>(いなり寿司)
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炊いたごはん ・・・・ 2合
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いなりあげ(味付き) ・・・・ 10〜12枚
(すし酢)
- 酢 ・・・・ 60ml
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砂糖 ・・・・ 大さじ2
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塩 ・・・・ 小さじ1
<作り方>
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すし酢はあらかじめ混ぜておく。いなりあげは酢飯を入れやすいようあらかじめ中を開いておく。
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炊きたてのごはんに酢飯を混ぜる。菊花と蓮根の甘酢漬けを軽く汁気をとり、好みの量を混ぜる。
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2をいなりあげの中に詰める。
**** 秋におすすめの薬膳レシピ ****