あさりとセリのお味噌汁 春の薬膳⑤
春は進学や異動、転居など何かとストレスが多い時期です。さらに花粉症、飲み会、花見など肝臓もフル稼働…
春の臓器である”肝”はストレスやお酒に弱い臓器なので、”肝”をいたわった養生が大切です。
春の食材を使った薬膳を取り入れて、気持ちよい春を迎えられるようしてください。
立春を過ぎると寒いながらも少しずつ陽気も暖かくなりはじめ、春が近づいてくるのを感じます。
春が来るのを楽しみに待つ人よりも、近頃は花粉症で憂鬱な気分になる方も多いのではないでしょうか。
花粉症を始め、春は何かと心身ともに不調を感じる方が多いのも事実ですが、春の養生の仕方を気をつけるだけで改善されることもあります。
中医学では、春の臓器に”肝”が配されています。
簡単にイメージするならば、現代の解剖学における肝臓の働きと同じものが多く、血液の貯蔵、くすりやアルコールの解毒などの働きがあります。
また、"怒”の感情に弱い臓器であり、怒ったり、イライラしたりすると刺激されて熱を持ったり、働きが悪くなったりします。
現代社会において、春は転居や進学・異動など外部環境からのストレスがかかりやすい時期です。
さらに、歓送迎会、お花見などお酒の席も多く、”肝”への負担はさらに大きくなります。
パソコンやスマホなど、目を酷使する場面が多い生活の方も多いでしょうが、実はこれも”肝”に負担のかかることなのです。
”肝”で蓄えられたきれいな血液が、目に補われてものがよく見えます。
慢性的な貧血や、ストレス、過多な飲酒をされている方で、視力の衰えやドライアイなどを感じている場合は、”肝”にかなり負担がかかっているのかもしれません。
なお、花粉症の方の中には、”肝”の機能が悪くなって症状が悪化している方もいます。
できれば冬から気をつけるのがよいですが、今からでも遅くないので”肝”をいたわる養生を行ってみてください。
<春の養生のポイント>
- 良質なタンパク質をとる
- 貧血予防になる食材をとる
- 緑色の食材をとる
- アルコールを控える
- 早寝をする
- イライラしない、怒らない
◆ 芹・水芹(せり):肝の余分な熱をとる
**食材の解説**
春の七草の一つでもあるセリですが、七草だけでなく春に食べるとよい食材の一つです。
独特の香りが苦手な方もいるかもしれませんが、ほかの食材と合わせることでその香りも食欲をそそるものになります。
セリは、”肝”や身体の余分な熱をとり、利尿作用、発汗作用、解熱作用などがあります。
特に、高血圧の方や頭がのぼせやすい方、イライラしがちの方などによいでしょう。
なお、根付きで売られているものを手に入れた場合はぜひ根も食べてください。セリの薬効は根の方が高く、根の茶色は泥ではなく、抗酸化作用がある部分です。
また、セリの薬効はミリスチンなどの揮発油成分によるため、加熱時間は短くした方がよいでしょう。
なお、胃腸が弱く冷えやすい方やのどの渇きが強い方は控えめにした方がよいでしょう。
◆ 浅蜊(あさり):貧血を予防する、余分な熱をとる
**食材の解説**
早春から旬になるあさりもぜひ春に食してほしいものです。
あさりだけでなく、ハマグリ、シジミなどの二枚貝は血液を補い、肝臓の働きを補う食材ですが、最も手に入れやすく、調理しやすいものがあさりでしょう。
あさりは、貧血の予防、余分な熱や水分を取り除く効果、精神を安定させる効果があります。
また、二日酔いを解消する効果、高血圧の予防、コレステロールの抑制と排泄、心臓機能の強化など、飲酒が多い方にもオススメの食材です。
あさりはタンパク質、脂質、カルシウム、リン、鉄分、ヨウ素、ビタミンB族を豊富に含み、殻に硫酸カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リンなど多くの微量ミネラルを含みます。
調理する場合は、お味噌汁など殻ごと調理する方法だとこれらの栄養素を取ることができます。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 味噌:上がった気を降ろす、解毒する
あさりとセリのお味噌汁
<材料> (2〜3人前)
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あさり(殻付き) ・・・・ 180g
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セリ(根付き) ・・・・ 1/2束(70g)
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だし汁 ・・・・ 400ml
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味噌 ・・・・ 大さじ1と1/2
<作り方>
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あさりは砂抜きををしておく。
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せりの根の部分はよく洗い(洗っても黒い部分はそのまま使う)、みじん切りにする。葉・茎の部分は5cm程度にきる。
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鍋で沸騰しただし汁にセリの根、あさりをいれ、一煮立ちしたらアクを取り除き、あさりの殻が開くまで蓋をする。
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あさりの殻が開いたら、火を止め、味噌を溶き入れる。セリの葉・茎をいれてしんなりするまで蓋をする。
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