お茶 ー気軽に薬膳②ー
(写真の順番:左から緑茶、ジャスミン茶、杜仲茶。茶葉は、左からジャスミン茶、緑茶、杜仲茶)
薬膳は日々の生活に取り入れて続けていくと、体質の改善や健康の維持につながります。
もっとも取り入れやすいもののひとつにお茶があげられるでしょう。
体質にあわせて選ぶことももちろんですが、季節によって選ぶことも重要です。
近頃はハーブティーや健康茶などいろいろな種類がありますが、できるだけ手に入りやすい種類のものを紹介します。
また、粉茶など茶葉を溶かすタイプのものの場合は、成分が濃縮していますので、できるだけ無農薬のものを選ぶとよいでしょう。
緑茶・茶葉(りょくちゃ)(写真・中央)
【効能】
利尿作用、のどの渇きをいやす、暑くてイライラするのを抑える、のぼせによる頭痛や目が赤くなることの解消、食べ過ぎによる消化不良を改善
【適応する症状】
むくみ、暑さによる不調、食べ過ぎ
※ 冷え性、特に冬季
※ 緑茶に含まれるタンニンが鉄分を吸着していまい効果が薄れるので、鉄剤とは一緒に服用しない
※ シメチジンの入った胃薬と一緒に服用すると、胃腸障害を起こす可能性あり
お茶と言えば、真っ先に思い浮かべるのが緑茶でしょう。緑茶の利尿作用はよく知られていますが、その他に、暑いときののどの渇きをいやしたり、頭に熱がこもってイライラしたり、頭痛がしたり、目が赤くなったときにこれらの症状をやわらげたり、食べ過ぎによる消化不良を改善したりするのに効果があります。
煎茶で飲むのももちろんですが、抹茶やお茶の葉を料理に使うのもよいでしょう。煎茶にする場合は、80℃前後のお湯でいれると、緑茶に含まれるビタミンCの損失を防ぐことができます。
ただし、からだを冷やす効果が強いので、冷え性の人や冬場はさけた方がよいでしょう。
なお、紅茶は緑茶を発酵させたもので、からだを冷やす作用が弱くなっていますが、口の乾きをいやす効果などはあります。
茉莉花茶(ジャスミンちゃ)(写真・左)
【効能】
リラックス効果、ストレス緩和、生理痛の緩和
【適応する症状】
ストレスなどによる胸や脇の張り、ストレスによる胃痛・腹痛・下痢・不眠、生理痛
かぐわしい香りのお茶で、近頃はペットボトルでもみられるほどメジャーなものとなりました。香りの通り、気持ちが落ち込んでるときやため息がでるときに飲むとリラックス効果が得られます。精油などでも同じくリラックス効果があります。
お茶にして飲むのももちろんですが、デザートでもおいしくいただけます。なお、カフェインは入っていません(ウーロン茶入りのものは、カフェインが緑茶と同じくらい入っていますす)。
杜仲茶(とちゅうちゃ)(写真・右)
【効能】
足腰の冷えや痛みをとる、耳鳴りの改善、胎児の安定、精力増強、花粉症の緩和
【適応する症状】
過労や冷えによる足腰の痛み、耳鳴り、男性不妊、習慣性流産
※ 暑がりの人には不向き
あまりなじみのない方もいるかもしれませんが、健康茶として売られていることもあります。杜仲茶は、漢方薬の杜仲より効能は落ちますが、同じような効果があります。漢方薬の杜仲は樹皮を、杜仲茶は葉の部分を使用しています。
杜仲には、冬の薬膳①でも紹介した“腎”を補う効果があり、足腰の冷え、耳鳴りなどの改善に効果があります。また、男性不妊や習慣性流産に効果があります。血管を強くする作用があり、花粉症の緩和も期待できます。
こちらのカフェインは含まれていないので、妊娠を期待する方にもお勧めできます。
山芋入りエビグラタン 冬の薬膳①
東洋医学では、冬の特徴を“蔵”といいます。春の芽吹きに備え、エネルギーを蓄えている状態です。また、関連する臓器は“腎”といい、現代の西洋医学における腎臓や生殖器などが該当し、人にもともと備わっている生命のエネルギーを蓄えているとも考えます。
この“腎”の気が損なわれると、いわゆる老化の症状がでます。たとえば、腰痛、耳鳴り、頻尿などです。老年の方でなくでもこれらの症状がでる事があり、寒さを我慢して腰を冷やし、腰痛になったりします。また、生殖器にも関連しますので、“腎”の気が損なわれると不妊症などの原因にもなります。
特に腰や下半身の冷えは、“腎”の気を損なう事になります。足腰が冷えて、お小水がちかくなるのも“腎”に関連する作用です。
冬にしっかりと“腎”の気を補う事で、冬の寒さからからだを守り、春に向かう準備ができます。また、“腎”の気を補う事は、アンチエイジング効果もあります。
冬の食養生の基本は、暖かい状態のものを食べることがまず大切ですが、食材もからだを温めるものや“腎”の気を補うものをとるとよいでしょう。
また、空気が乾燥し、皮膚やのどが乾燥しますので、からだを潤すことも大切です。
海老・蝦(エビ)
日本人はエビ好きとよく言われますが、エビは“腎”の気を補い、からだを温める代表的な食べ物です。足腰の冷え、食欲不振に適用し、体力回復の効用があるとされます。また、母乳のでをよくするとも言われます。
現代の栄養学では、高タンパク、低脂肪で、糖質がゼロなので、ダイエットに向いている食材とされています。また、血中コレステロールの低下や動脈硬化の予防に効果があるタウリンが多く含まれており、殻にはカルシウムや抗酸化作用のあるアスタキサンチンなどが含まれています。できれば殻ごと食べるのがよいでしょう。
山芋・山薬(ヤマイモ)
ヤマイモは芋類のなかで、唯一生食できる種類で、長芋、大和芋、自然薯(じねんじょ)などがあり、とろろ芋として食べる事も多いでしょう。
漢方薬では“山薬”(さんやく)と言われ、元気を補ったり、食欲不振などに効果があります。
漢方薬は、ヤマイモを乾燥させたものですので基本的には食材でも漢方薬でも同じ効果があります。元気を補ったり守ったりする作用がありますので、“腎”の気を守り固め、頻尿に効果があります。他に、胃腸のはたらきが低下し下痢になっている場合や、肺の機能が低下して咳が止まらないような場合にも効果があります。さらに、食べ過ぎによる糖尿病にも効果があるとされます。
ヤマイモは効果が穏やかで、常食したり、どの年代の方にも取り入れやすい食材です。ただし、食べ過ぎるとおなかがはることがあるので、食べ過ぎには注意が必要です。
胡桃・胡桃仁(クルミ)
クルミも“腎”の気を補い、からだを温める代表的な食べ物です。耳鳴りや足腰の衰え、乾燥する便秘、肺の機能が弱くなっている場合の咳などに効果があります。また、クルミの形が脳の形に似ているので、記憶力の向上などに効果があるとされ、子供の発育や認知症の予防などにも用いられます(“腎”の気の低下は記憶力低下につながります)。
ナッツですので、当然油分が多く含まれますので、くれぐれも食べ過ぎには注意しましょう。
山芋入りエビグラタン
<材料> (2〜3人前)
- エビ ・・・・ 10尾(無頭・殻付きで約150g)
- 山芋 ・・・・ 20g
- ほうれん草 ・・・・ 80g(1/4束程度)
- クルミ ・・・・ 3g
- ピザ用チーズ ・・・・ 30g
- パルメザンチーズ ・・・・ 少々
(ホワイトソース用材料)
- バター ・・・・ 60g
- 薄力粉 ・・・・ 30g
- 牛乳 ・・・・ 2と1/4カップ
- 白ワイン ・・・・ 大さじ2
- 塩 ・・・・ 小さじ1/3
- こしょう ・・・・ 少々
<作り方>
- エビは殻をむき、背わたをとっておく。山芋はすりおろしておく。ほうれん草はゆでて食べやすい大きさに切っておく。
- 熱したフライパンにエビをいれ、白ワインを入れて煮立ったらフタをし蒸し焼きにする。エビの色が変わったら火からおろし、エビと蒸した汁は別々にしておく。(汁はホワイトソースに入れます。)
- (ホワイトソース)鍋にバターをいれ弱火でバターを溶かす。完全に溶けたら火からおろし、薄力粉を加え手早く混ぜ、完全に混ざったら中火にかけ、全体をまぜる。全体がふつふつしたら牛乳を加え、なめらかになるまで混ぜ、エビの蒸した汁を加え混ぜながら5分中火で煮つめる。
- 火からおろしたホワイトソースに、やまいも、塩、こしょうを加え味を整える。エビとほうれん草をまぜ、グラタン皿にのせる。
- ピザ用チーズ、パルメザンチースをかけ、くだいたクルミをのせ、オーブントースターで5分ほど焼く。
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銀杏ごはん 秋の薬膳②
秋の薬膳①でもありましたが、秋は空気が乾燥するので、肺の機能を補うような食養生が重要になります。
秋に旬を迎える食べ物に、そのようなものが多くありますが、その一つとして銀杏があげられます。銀杏は肺の機能を高める効果に優れています。
なお、銀杏と言えば実を食べるのが一般的ですが、イチョウの葉*1も薬効(血圧降下など)がありお茶として飲まれることがあります。
今回は、銀杏ごはんでレシピを作っていますが、もちろん、塩炒りやそのままでもよいと思いますので、日々の食卓に取り入れてみてください。
銀杏・白果(ぎんなん)
イチョウの実で、独特の香りがあります。
肺の機能を高め、ぜんそくをとめる効果に優れています。また、おりものや頻尿をとめたり、炎症を抑えたりする効果もあります。
肺の機能を高め、血流を改善する効果に優れていますので、血行が悪い方に適します。これは、銀杏に含まれるイチョウ酸の溶血効果によるものです。
一方、銀杏は、食材の分類で「小毒」があるものとされており、薬効が強く、胃腸の弱い方などには適しません。さらに、銀杏を食べ過ぎると中毒になる恐れがありますが、これは銀杏に含まれるシアン化合物によって引き起こされます。
※ 注意:必ず十分加熱すること。
※ 適さない人:妊婦、小児(5個程度まで。5歳未満なら食べない方がよい)、胃腸の弱い人
銀杏ごはん
<材料> (4〜5人前)
- 銀杏(から付き) ・・・・ 50g(15〜16個)
- 白米 ・・・・ 2合
- 塩 ・・・・ 小さじ1
<作り方>
- 銀杏のからを割り、薄皮をむき、半分の大きさに切る。
- 米を研ぎ、通常の分量の水を入れる。
- 銀杏、塩を加え、炊く。
ゆり根と白きくらげのスープ 秋の薬膳①
中医学では、季節の特徴をそれぞれ表す言葉と、関係する臓器やからだの機能を示す、五行というのもがあります。
秋は、臓器は「肺」、特徴を「燥(そう)」、として表します。
秋になると乾燥して、空咳がでる、ということをうまく言い表しています。
薬膳、食養生でも秋には、肺の機能を高め、乾燥からからだを守ることが重要になります。
乾燥した空気によって、のどや鼻の粘膜も乾燥し、咳が出るカゼになる方も多い季節です。部屋の湿度調整ももちろんですが、からだの粘膜や乾燥を防ぐ機能を高めて、カゼをひかない食事を取り入れていくとよいでしょう。
また、のどや粘膜の乾燥を防ぐということは、すなわちからだの潤いを保ったり高めたりすることになります。のどや粘膜の潤いが増せば、同時にからだの表面の潤いも増すことになりますので、乾燥肌の対策にもなります。
なお、咳でもいくつかのタイプがあり、今回は、のどや鼻が乾燥して、口やのどが渇くような場合や、微熱があって空咳がでるようなタイプの症状にあう代表的な食材を選んでいます。
百合根(ゆりね)
ゆりの根っこで、秋から冬にかけて出回り、おいものようなホクホク感と上品なほんのりとした甘みがあります。
肺を潤し、咳をとめる効果があり、秋の乾燥から呼吸器の粘膜を守るのに優れた効果があります。また、精神を安定させる効果があります。
ただし、寒気を伴い、のどが渇かず、痰が出る場合には適しません。また、止血効果があるので、血液の循環が滞っている方にも適しません。
乾燥したものもありますが、生のものでもぬかと一緒に冷蔵庫などで保存すれば数ヶ月はもつようです。
白木耳・銀耳(しろきくらげ)
日本では黒きくらげの方が有名ですが、同じくキノコで、中華ではスープやデザートなどで用いられ、コリコリとした食感が特徴です。
気管と肺を潤し、空咳をとめる効果があります。また、胃を保護して唾液の分泌を促し、のどの渇きを納める効果もあります。
17種類のアミノ酸と豊富なミネラルを含み、美肌にも効果があることで知られています。また、19世紀までは野生のものしかなく、高い滋養効果から若さを保つために貴族が愛用するような大変高級なものでしたが、最近はスーパーでも手に入るくらい身近な中華食材となりました。
なお、水分代謝が悪い方などは控えめにした方がよいでしょう。
ゆり根と白きくらげのスープ
<材料> (2人前)
- ゆり根 ・・・・ 50g
- 白きくらげ(乾燥) ・・・・ 5g
- 水 ・・・・ 400ml
- 塩 ・・・・ 小さじ1/2
- 中華スープのもと ・・・・ 大さじ1
<作り方>
- 白きくらげを軽く水で洗い、水またはぬるま湯で戻す。戻したら、黄色くなっているいしづきや固い部分を取り除き、食べやすい大きさに切る。
- ゆり根を洗い、変色した部分を取り除き、大きいものは半分に切る。
- 沸騰したお湯に白きくらげ、ゆり根をいれ、中華スープのもとを入れ、5分ほど煮る。
- 塩で味を整える。
※ あまり煮るとゆり根も白きくらげも崩れてなくなってしまいます。
はちみつのアメ ー気軽に薬膳①ー
薬膳がからだにいいのはわかるけど、わざわざ作るのも面倒、という方も多いと思います。
薬膳の定義は、漢方薬を使った料理、ではありません。
からだの症状にあわせた食べ物を、おいしく食べられること、そして続けることです。
そんなときに活躍するものの一つがアメです。
アメは立派な薬膳の形態の一つであり、飴類という分類になり、のど飴や半生のフルーツなどが含まれます。
疲れたときやのどが乾燥しているとき、そんな時にオススメなのが、はちみつのアメです。
はちみつはミネラルやビタミンをバランスよく含んでおり、免疫力の向上や腸の善玉菌を増やすことなどで知られています。
中医学でもはちみつは様々な効果があるとされ、例えば、乾燥してでる咳や、高齢の方の乾燥した便秘、疲労回復、乾燥肌、やけどなどに効果があるとされています。
蜂蜜(ハチミツ)
【効能】
肺や肌・腸を潤す、胃腸を丈夫にして機能を高める、痛みを緩和する、解毒する
【適応する症状】
から咳、食欲不振、(乾燥した)便秘、疲労、乾燥肌
※ 0歳児への使用は控えること
はちみつには、ブドウ糖が含まれており、消化吸収が良いことから、疲れた時にすばやく効果があったり、からだの弱い方でもとりやすかったりします。
また、はちみつは抗菌作用が強く賞味期限がないともいわれます。ミイラと一緒に食べれる状態のはちみつが発見されたこともあるそうです。
(開封したものや保存状態の悪いもの、添加物の入っているものはこの限りではありません。)
その他にも、抗がん作用や胃・十二指腸潰瘍への効果があるようです。
ただし、あくまでも糖分ですのでとり過ぎには十分注意してください。
また、糖尿病の方や下痢になりやすい方、そして0歳児への使用は控えた方がよいでしょう。
コンビニやドラッグストアでも見かけますので、上手に活用してみてください。
貝柱とセロリの炒め物 ーイライラ・不眠・高血圧の薬膳ー
中医学では、同じ病気でも違う治療を行ったり、同じ治療でも違う病気を治療したりすることがあります(同病異治(どうびょういち)といいます)。
今回のレシピは、主に二つの症状に効果があります。
症状① 更年期などのイライラや不眠
更年期(更年期障害の症状が出ている人だけでなく、閉経のころや閉経後)になると、人によってはイライラしたり、のぼせやのどの渇き、めまい、不眠などの症状が出ることがあります。
症状② 高血圧
生活習慣や加齢などによって、血管が老化し血圧が高くなります。血管が切れやすくなり、脳梗塞など重い病気を引き起こします。
どちらの症状も中医学では、腎気(腎陰)が減るためと考えられており、ホルモンのバランスが崩れることを示しています。
貝柱(ホタテ)
からだの乾きを潤し、めまいやのどの渇き、食欲不振に効果があります。また、腎を補う作用もあります。
古くから、視力減退に効果があるとされており、これは豊富に含まれるタウリンの働きによるものと考えられています。ほかに、亜鉛や鉄、ビタミンB2など豊富に含みます。タウリンは、食物繊維といっしょに摂るといっそう効果が高まります。
生の貝柱よりも、乾物の貝柱の方が味や栄養・効能ともに優れており、高級食材として知られています。
セロリ(芹菜)
昇った気を降ろす効果があり、めまい、高血圧に効果があるとされています。また、精神安定作用があり、イライラにも効果があるほか、からだの余分な水分を取り除く作用があります。
セロリ独特の香りが苦手、という方もいるかもしれませんが、この香り成分に含まれるアイピンは食欲増進、頭痛などに効果があり、セネリンという成分には精神安定、食欲増進、頭痛に効果があるとされています。茎よりも葉の方が多く含まれています。
なお、セロリには連続して摂り続けると精子を減少させる効果が報告されており、男性不妊の方は控えた方がよいでしょう。
ゆず(柑橘類)
柑橘系のものの多くには、気を通す作用があります。ストレスやイライラがあるときに柑橘系の香りを嗅ぐとスっとするのはそのためです。実よりも皮の方が効果がありますので、無農薬のものや国産のものが手に入ったときはぜひ活用してください。
なお、中華食材として有名な「陳皮(ちんぴ)」はみかんの皮で、同じく気を通す作用があります。
貝柱とセロリの炒め物
<材料> (2人前)
- 干し貝柱 ・・・・ 5個(約20g)
- セロリ(大) ・・・・ 1本
- 塩 ・・・・ 小さじ1/2
- ゆずの皮 ・・・・ 少々
- 片栗粉 ・・・・ 大さじ1(同じ分量の水で溶いておく)
- ごま油 ・・・・ 大さじ1
<作り方>
- 干し貝柱を水にひたひたになる程度に浸し、半日〜1日つけて戻す(急ぐ場合は40度程度のぬるま湯に浸し、ラップをかけ電子レンジで2〜3分加熱する)。戻し汁も使うのでとっておく。
- セロリを5mm程度に切る。
- 熱したフライパンにごま油をひき、セロリとほぐした貝柱を炒め、戻し汁を入れる。
- 塩で味を整え、溶かした片栗粉を入れる。
- 盛りつけ、千切りにしたゆずの皮を散らす。
トウモロコシとハトムギのごはん 夏の薬膳③
日本は他の国に比べて高温多湿であるため、多くの方がからだに水分がたまりやすくなります。湿度が高くなる梅雨の時期はもちろんですが、食べ物や飲み物によっても水分をためやすくなってしまいます。
例えば、甘いものや冷たいもの。アイスクリームや冷たいジュースの飲み過ぎはからだに水分を溜め込み、むくみの原因となります。
からだの中に水分が多くなると、むくみ以外にも様々な影響がでます。例えば、夏バテしたときに食欲がなくなったりしますが、これは暑いからといって、冷たいものや水分や甘いものをとりすぎ、胃の働きが停滞してしまうためです。ほかにも、お小水が出過ぎたり、水分の多い痰が出たりすることもあります。
むくみなど余分な水分を取り除くには、いわゆる利尿作用のあるものが効果的です。有名なものだと、緑茶やキュウリなどがあげられるでしょう。
トウモロコシも利尿作用がある食べ物です。トウモロコシのひげは漢方として用いられていますが、最近はお茶としても定着しており、利尿作用があることをご存知の方も多いでしょう。
消化不良や食欲不振、便秘の改善にも効果があるとされます。また、不飽和脂肪酸であるリノール酸が含まれており、抗酸化作用や血中コレステロールを減らす作用があります。
ハトムギは、薏苡仁ともいわれ、イボ取りに効果があることで有名です。ハトムギも水分代謝に効果があるほか、膿を出す作用に優れています。
最近は、雑穀ごはんのもとなどに含まれていることも多く、スーパーの売り場でもお米の近くにおいてあることもしばしば見かけます。比較的手に入りやすい食材になってきました。
なお、一部の文献には妊婦には用いないこと、とされていますので、妊娠中の方はさけた方がよいでしょう。
ごはんと一緒に入れて炊くだけなので、簡単にできるレシビです。トウモロコシの優しい甘みが上品ですので、会席料理などでも季節のごはんとしてトウモロコシをいれることもあるようです。
トウモロコシとハトムギのごはん
<材料> (3合)
- 白米 ・・・・ 3合
- トウモロコシ ・・・・ 1本
- ハトムギ ・・・・ 大さじ1
- 塩 ・・・・ 小さじ1
<作り方>
- ハトムギと白米を洗い、30分以上水に浸しておく。
- 軸からトウモロコシの実を手でとる。軸も使うためとっておく。
- 1にトウモロコシの実、塩、トウモロコシの軸を炊飯器にいれて通常通り炊く。
トウモロコシの実をとるときですが、トウモロコシの胚芽(軸についている実の部分)に栄養が多く含まれているため、包丁では切らず、できれば手で実をとってください。
また、トウモロコシの軸も一緒に炊くと、トウモロコシの甘みや香りがよくでます。
妊娠中の方は、ハトムギを抜いたレシピにするとよいでしょう。
冬瓜と豚肉のスープ 夏の薬膳②
前回は夏の暑さを取り除くレシピでしたが、今回はそれに加えて、からだの水分を補ったり、汗と一緒に流れ出てしまった”気”を補うレシピです。
夏の暑さがこもったままだと、からだがほてったり、のどがよく渇いたりします。
からだにたまった熱をそのままにしておくと、だるさや頭痛が出てきたり、何となくからだの不調があったり。夏を乗り切れてもいわゆる秋バテになることもあります。
これは、からだの中にこもった熱によってからだの中の水分が少なくなってしまい、からだがほてったり、のどが渇いたりし、ひどくなると何となくイライラしたりします。
また、暑いときには体温を下げようと汗が出ます。こちらも同じくからだの中の水分を減らしますが、中医学では汗と一緒に”気”も流れ出るとされるため、元気がなくなって、からだがだるくなったり、疲れやすくなったりするのです。
冬瓜は、”冬”という字がつきますが、夏が旬のウリ科の野菜です。丸のまま涼しい場所におくと、翌春まで貯蔵できることから”冬瓜”という名前がついたと言われます。*1
暑さを取り除くほか、利尿作用があり、むくみなどを解消します。
なお、冬瓜の皮や種は漢方薬として使われており、種は痰きりや膿をだすのに、皮は利尿に用いられています。
豚肉は、ビタミンB1が多く含まれ、疲労回復によいとされますが、中医学でも、体力回復に用いられ、”気”や血液を補う作用があると考えられています。
また、豚肉はほてったからだの熱を納める作用があります。薬膳の処方の中には、からだの水分や血液が少なくなり、熱をもった状態のときに、豚肉を煮た汁を飲む、というものもあります。*2
冬瓜と豚肉のスープ
<材料> (2〜3人分)
- 冬瓜 ・・・・ 400g (1/4個程度)
- 豚肩ロース ・・・・ 200g
- しょうが ・・・・ ひとかけ
- 塩 ・・・・ 小さじ1/2
- しょうゆ ・・・・ 小さじ1/3
- 水 ・・・・ 400ml
<作り方>
-
豚肉を食べやすい大きさ(3cm程度)にきり、塩をふっておく。
-
冬瓜は、わたと皮をとり、2cm程度のいちょう切りにする。しょうがを薄く切っておく。
-
サラダ油を引いた鍋に豚肉をいれ、表面を焼く。水を入れ一煮立ちさせて豚肉をザルにあげる。
-
冬瓜、豚肉、しょうが、水を鍋に入れ、20〜30分煮る。
- 塩、しょうゆで味を整える。
3.は豚肉のあぶらや臭みを取り除きます。
味は薄めにしているため、物足りない場合は、鶏ガラスープを加えてもよいでしょう。
また、煮込む時間がない方や豚肉を柔らかく仕上げたい方は、圧力鍋や土鍋を活用するとよいかと思います。
冬瓜、豚肉どちらもからだを冷やす食材なので、からだが冷えている方にはたくさん食べるのは控えてください。また、豚肉のかわりに、同じく”気”を補う鶏肉にしてもよいでしょう。
特に気になる症状にあわせて、以下のような食材を加えてアレンジしてみてください。
- からだがほてる、のどがかわく:豆腐
- 疲れやすい、だるい:山芋
- 食欲がない:刻みしょうがやシソをそえる
ハイビスカスゼリー 夏の薬膳①
ここ最近は、猛暑日が連日となることも珍しくなくなってきました。
水分補給はもちろんですが、日々の食事で暑さをやわらげるメニューを取り入れて、暑さに負けないよう毎日を過ごしたいものです。
食べ物の中には、夏の暑さをからだから上手に取り除いてくれる食材があります。
ハイビスカスティーやレモンには解暑という作用があり、夏の暑さをからだから取り除いてくれる作用があります。
また、甘酸っぱいものには酸味は汗を止める作用あります。
熱中症予防になりますので、海水浴や遊園地など暑い中外出する前にいただくのがオススメです。
ただし、甘いものや冷たいものの食べ過ぎで胃腸の働きが弱っていたり(いわゆる夏バテで食欲がない状態)、クーラーの効いたオフィスで冷え性になってしまっている方は、たくさん食べないよう気をつけてください。
(からだや胃腸を冷やしすぎたり、からだの中の水分がたまりすぎるためです。)
ハイビスカスゼリー
<材料> (2〜3個分)
- ハイビスカス ・・・・ ティースプーン 山盛り2杯
- レモン ・・・・ 1/2個
- 白砂糖 ・・・・ 大さじ1+1/2
- 粉ゼラチン ・・・・ 10g
- お湯 ・・・・ 2カップ
- ミント ・・・・ 適量
(シロップ)
- 水 ・・・・ 10cc
- 白砂糖 ・・・・ 大さじ1
ハイビスカス、粉ゼラチンは、お使いのものによって量が異なりますので、お使いのものにより調整してください。
<作り方>
-
レモンを搾っておく。果肉も入れておく。(果肉があることで食感にアクセントが出ます)
- ハイビスカスにお湯を注ぎ、2分ほど待ってこす。
- 2に白砂糖をいれ溶かす。1を入れた後、熱いうちに粉ゼラチンを入れ溶かす。
- 3を容器にいれ、あら熱がとれたら冷蔵庫にいれ30分ほど冷やす。
- シロップ用の水と白砂糖を小さめの鍋にいれ、一煮立ちさせて冷やす。
- 4にシロップをかけ、ミントを飾る。
ハイビスカスティーはゼラチンを入れるときれいに赤色が出ません。レモンまたはクエン酸を加えることできれいに赤色が出ます。
ハイビスカスティーの濃さ、甘さ、ゼリーの固さなどはお好みで変更してください。