便秘の薬膳② きのこと種実のいろいろ炒め
便秘の薬膳①で便秘にはさまざまなタイプがあることを取り上げましたが、今回は女性に多い貧血タイプの便秘の薬膳です。
貧血タイプの便秘では、貧血によりからだの水分量が少なくなっているため、腸内の水分も少なくなり、便秘になっているタイプです。貧血を改善しながら、腸内の水分も補うことが必要です。
ごまやナッツ類は、腸内を潤し排便をスムーズにさせる効果があるものがたくさんあります。また、黒きくらげや黒ごまなどは血液を作る作用を助け、貧血に効果があります。一般にきのこは食物繊維も多く、便秘を改善する効果があるので、うまく組み合わせて取り入れるとよいでしょう。
黒木耳(くろきくらげ)
広葉樹の枯れ木に生えるきのこの一種で、食感がクラゲに似ていたことから木クラゲと名付けられました。中華料理では一般的に使われているものの、日本では今までなじみが薄かったようですが、近頃はスーパーでも生のものを見かけるようになりました。
黒きくらげは、貧血の改善や血流をよくし血液中にこもった熱をとる効果、腸を丈夫にする効果などがあり、貧血だけでなく、便が乾燥して出血するような痔の止血に効果があるとされています。
現代の研究では、抗菌作用、抗がん作用、動脈硬化の予防、傷口を修復する作用があるとされています。ビタミンも豊富に含むほか、鉄分だけでなくカルシウムも豊富に含まれています。
一方、黒きくらげに含まれるカルシウムの吸収を妨げるので、シュウ酸を多く含むほうれん草や食物繊維の粗いごぼうとは一緒にとらない方がよいでしょう。さらに、一緒に接種しない方がよいものとして、ビタミン剤(ビタミンが過剰になるため)、抗生物質(カルシウムが結合し吸収しにくくなるため)があげられます。
その他のきのこ
しめじ:血を補い、通便を促す効果があります。コレステロールの抑制や高血圧の予防にも効果があるとされます。
エリンギ:体の水分を補います。ほかに、空咳や手足のほてりをとります。
えのき茸:通便を促す効果があります。動脈硬化や肌荒れの予防にも効果があるとされます。
白ごま(白胡麻)
通便を促したり、皮膚の乾燥を防いだり、体の水分調整をする作用があります。古医書である『食物本草』では「五穀の中で体に最も良いので“五穀の長”といわれ、長期に服用すれば、脳の活動がよくなり、長寿になる」とされています。
黒ごまと同様、殻が堅いのでひねってから使うとよいでしょう。また、リノール酸は酸化しやすいため、新鮮なものを使うようにした方がよいです。
下痢をしている方には不向きです。
松の実(松子)
肺や大腸を潤すため、通便を促したり、肺の乾燥を防いだりします。また、めまいやかゆみを抑える効果もあります。中国では滋養強壮食品としても有名です。
現代の栄養学では、免疫力を高める作用、がん抑制作用、抗菌作用なども認められています。
栄養価も高く、抗酸化作用のあるリノール酸も多く含まれていますが、こちらもごまと同じく過酸化すると発がん性を持つため、その年のうちに食すようにした方がよいでしょう。
(黒ごまは春の薬膳④で紹介しています。)
きのこと種実のいろいろ炒め
<材料> (2人前)
- 黒きくらげ(戻したもの) ・・・・ 40g
- しめじ ・・・・ 50g
- エリンギ ・・・・ 50g
- えのきだけ ・・・・ 60g
- 黒ごま ・・・・ 小さじ1
- 白ごま ・・・・ 小さじ1
- 松の実 ・・・・ 小さじ1/2
- しょうが ・・・・ ひとかけ
- しょうゆ ・・・・ 小さじ2
- ごま油 ・・・・ 大さじ1
<作り方>
- 黒きくらげはいしづきをとり、1cm幅に切る。エリンギも食べやすい大きさに切り、その他のきのこもいしづきをとり、ほぐしておく。
- しょうがは粗みじん切りにする。
- フライパンにごま油、しょうがをいれ、香りがたったらきのこをいれる。
- きのこがしんなりしたら、しょうゆを加え、最後に黒ごま、白ごま、松の実をひねりいれる。
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