薬膳ごはん yakuzen gohan

日々の生活に取り入れられる薬膳のレシピを紹介していきます。

酒粕の豚汁 冬の薬膳②

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暦の上では立冬から大寒までの3ヶ月が冬です。
日に日に寒さが厳しくなるなか、からだの芯から温める酒粕は冬にとりたいものの一つです。
毎日のお味噌汁に足すだけでも十分からだがあたたまります。
また、冬は豚肉をはじめとした”腎“を補う食材をとることが大切です。アンチエイジングにもなるのでしっかりと摂りたいものです。

 

冬は動物たちが冬眠したり、植物が土の中で芽吹きに備え根や種に栄養を蓄えるように、内側にからだのエネルギーを蓄える季節です。
この蓄えたエネルギーが、次の春、そして1年の動力源になりますので、冬の過ごし方が非常に大切になります。

ではどのようなエネルギーを蓄えるとよいかというと、食事で言えば体重を増やすような高カロリー食のことではなく、からだの源を強くするような食事が必要になります。
そのような特徴を備えた食材は“腎”に帰経(きけい)するものです。
たとえば、豚肉、山芋、黒ごま、黒米、栗、牡蠣やえび、スッポンなどで、黒い色をした食材が多いと言われます。また、“腎”は生殖器を司る臓器でもあり、これらの食材にはいわゆるアンチエイジング効果のあるものが多いです。

冬の食養生としては、”腎”を補う食材を中心としながら、からだをあたためからだの表面を強くする(免疫力を高める)ような食事をとるとよいです。また、寒くてからだの巡りが滞りがちなので、適度に巡りをよくする食材もいれるとよいでしょう。

 

◆ 酒粕(さけかす):血行を良くする、お腹をあたためる

**食材の解説**

酒粕は日本酒を作るときの搾りかすで、発酵食品の一種です。最近は美容や健康に注目されることも多くなっている食品でしょう。
日本酒(清酒)は、少量飲むと血行を良くしからだを温める作用がありますが、酒粕にも同じく血行を良くしお腹を中心としてからだを温める作用があります。また、消化不良の改善する作用もあります。

現代の栄養学では、糖尿病の予防、がんの抑制、高血圧の抑制、骨粗しょう症の予防など様々な効果が認められており、美白効果もあると言われています。また、アレルギー体質の改善にも効果があり、花粉症やアトピー性皮膚炎などの改善も期待されます。
タンパク質、食物繊維のほか、ビタミンB1、B2、B6や葉酸など多数の栄養素を含んでいます。

酒粕もアルコールを含んでいますので、お酒の弱い方はアルコール分をしっかり飛ばしたり、摂りすぎないよう注意した方がよいでしょう。

◆ 葱・葱白(ねぎ・そうはく):寒気のあるカゼ、冷えの緩和

**食材の解説**

民間療法でのどのカゼにネギを首にまくとよいと言いますが、ネギの白い部分は”葱白(そうはく)”といい、漢方薬でも冷えから来るカゼの薬として用いられています。
ネギの白い部分には、寒さからくるカゼを発汗して追い払い気の巡りをよくする作用お腹をあたためて冷えによる腹痛を緩和する作用があります。また、白い部分・青い部分ともに炎症の晴れを消して毒を解毒する作用があり、これがのどの痛みを緩和するとされる由縁でしょう。

現代の栄養学でも、ネギの白い部分には抗菌作用のある成分が多数含まれています。例えば、ネギやニンニクの匂いのもとであるアリシンは、幅広く強い殺菌力を持っており、ビタミンB1の吸収を高めエネルギーを効率的に利用できるようにします。また、アリシンを加熱すると血流をよくする成分になります。
なお、アリシンは熱に弱く水に溶けやすいので、抗菌作用を期待したいときは水にさらしたり長く煮たりしない方がよいでしょう。

ネギは、気を昇らせる作用が強いので、カゼでも汗をかきすぎているような高熱などには用いてはいけません。また、のぼせや多汗の症状がある方も控えた方がよいでしょう。どのような体質の方も食べるぎるとめやにが多くなったり脱毛しやすくなると言われているので、食べ過ぎには注意しましょう。
なお、ネギと蜂蜜は一緒に食べると中毒になるという報告もありますので、一緒に食べない方がよいでしょう。

今回のレシピで使っているその他の食材

 ◆ 豚肉:からだを潤し、回復させる
※ 豚肉を使った過去のレシピはこちら

 ◆ 山芋:滋養強壮、生殖機能を保つ、肌を潤す
※ 山芋を使った過去のレシピはこちら

 ◆ しょうが:からだを温める、寒さからくるカゼを追い払う

 ◆ きゃべつ:毛細血管の循環障害改善、臓器の機能(特に消化機能)の調節と回復

 ◆ しめじ:血液を補う、便秘を解消する

 ◆ にんじん:血液を補う

 ◆ ごぼう:血行を良くする、老廃物をのぞく

 ◆ 七味唐辛子(唐辛子や陳皮):気血の流れを良くする

 

酒粕の豚汁

<材料> (2〜3人前)

  • 豚肉(バラまたは薄切り) ・・・・ 100g

  • 山芋           ・・・・ 100g

  • キャベツ         ・・・・ 50g

  • しめじ          ・・・・ 100g

  • にんじん         ・・・・ 50g

  • ごぼう          ・・・・ 50g

  • 酒粕           ・・・・ 大さじ1と1/2

  • みそ           ・・・・ 大さじ1と1/2

  • だし汁          ・・・・ 800cc

  • しょうが         ・・・・ 5g(ひとかけ)

  • ネギ(白い部分)     ・・・・ 1本

  • 七味唐辛子        ・・・・ 適量

<作り方>

  1. 具材の野菜を食べやすい大きさに切る。豚肉も3cm程度に切る。

  2. だし汁と1の野菜をなべにいれ煮る。

  3. 具材が煮立ったらアクをとり、酒粕、みそを溶き入れ10分ほど煮る。

  4. 器に盛りつけ、すりおろしたしょうが、輪切りにしたネギを添え、好みで七味唐辛子をかける。 

 

獺祭 磨き三割九分 純米大吟醸 新酒粕(バラ粕) 1kg詰

獺祭 磨き三割九分 純米大吟醸 新酒粕(バラ粕) 1kg詰

 

 

**** 過去の冬の薬膳レシピ **** 

yakuzen-gohan.hatenablog.com

 

 

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