牡蠣とブロッコリーのソテー 冬の薬膳③
冬は”腎”に負担がかかる季節です。滋養強壮作用のある食材の多くは腎を補ってくれます。
魚介類の多くが腎を補うものですが、牡蠣もその一つ。
ミネラルも多く含みすぐれた栄養バランスの食材です。
冬に取りたい食材は免疫力を高めたり、強壮作用のあるものが多く、そのような食べ物は中医学的にいうと”腎”を補う食べ物が多いです。腎を補う食べ物は海産物に多く、冬場においしくなる牡蠣もその一つです。
冬の薬膳②では、冬の食養生として”腎”に帰経する食べ物が良い、と説明しましたが、この”腎”という臓器は単に腎臓だけを指すのではなく、私たちの生命活動の源をつかさどる機能も含んでいます。
たとえば、”腎”には生殖器の機能も含まれており、不妊治療やアンチエイジング効果を期待する場合は、適切に腎の働きをよくすることが必要になります。
また、老年性の足腰の痛み、認知症などもこの”腎”の機能が弱ってきたからと考えますので、症状の緩和や予防にも”腎”を補うことが必要です。
逆に、若くても特に冬に不養生な生活をしていると、”腎”が衰えてきます。特に腎は寒さを嫌いますので、冬場に下半身が冷える生活を送っていると、”腎”が弱ってしまいます。
寒い日に腰を痛めただけと思っていても、一時的ではありますが実際には”腎”が大変ダメージを受けた結果とみることができます。
頻繁に痛めてしまう方は、一度ライフスタイルを見直すとよいでしょう。
◆ 牡蠣(かき):免疫力を高める、肝機能を高める
**食材の解説**
カキは「海のミルク」ともいわれるほど、栄養豊富でバランスの取れた食材で、世界各国で強壮食品とされいます。
カキの身には、冬季に肌を滋養し美顔にする効果、血行を良くし生理痛・生理不順を改善する効果があります。また、カキの貝殻は”牡蛎(ぼれい)”と言われ、精神の安定、のぼせや寝汗の解消などに効果がある漢方薬です。
現代の栄養学では、鉄分や亜鉛などのミネラルが豊富で貧血や強壮作用が期待できます。また、グリコーゲン、タウリンが含まれており、肝機能の働きを助けます。
胃・十二指腸潰瘍、過汗症を回復する作用、免疫力向上、脳血栓の予防、肝機能向上に効果がみられるとの報告があります。
体をお温める効果が強いので、高血圧の方は身は食べないほうがよいでしょう。痔の症状を誘発するともいわれますので、痔の方も控えたほうがよいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ ブロッコリー:からだを潤し、回復させる
◆ マッシュルーム:滋養強壮、生殖機能を保つ、肌を潤す
◆ にんにく:からだを温める、寒さからくるカゼを追い払う
牡蠣とブロッコリーのソテー
<材料> (2〜3人前)
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牡蠣 ・・・・ 200g
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ブロッコリー ・・・・ 100g
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マッシュルーム ・・・・ 50g
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にんにく ・・・・ ひとかけ
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塩 ・・・・ 小さじ1/2
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オリーブオイル ・・・・ 大さじ1
<作り方>
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牡蠣は塩や大根おろしで汚れを落としておく。ブロッコリーとマッシュルームは食べやすい大きさに切る。にんにくはみじん切りにする。
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フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、香りが出てきたら牡蠣を焼く。牡蠣に火がとおったら、とりだす。
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牡蠣を取り出したフライパンでブロッコリー、マッシュルームを炒める。火がとおったら牡蠣を戻し、塩を加える。
**** 過去の冬の薬膳レシピ ****
酒粕の豚汁 冬の薬膳②
暦の上では立冬から大寒までの3ヶ月が冬です。
日に日に寒さが厳しくなるなか、からだの芯から温める酒粕は冬にとりたいものの一つです。
毎日のお味噌汁に足すだけでも十分からだがあたたまります。
また、冬は豚肉をはじめとした”腎“を補う食材をとることが大切です。アンチエイジングにもなるのでしっかりと摂りたいものです。
冬は動物たちが冬眠したり、植物が土の中で芽吹きに備え根や種に栄養を蓄えるように、内側にからだのエネルギーを蓄える季節です。
この蓄えたエネルギーが、次の春、そして1年の動力源になりますので、冬の過ごし方が非常に大切になります。
ではどのようなエネルギーを蓄えるとよいかというと、食事で言えば体重を増やすような高カロリー食のことではなく、からだの源を強くするような食事が必要になります。
そのような特徴を備えた食材は“腎”に帰経(きけい)するものです。
たとえば、豚肉、山芋、黒ごま、黒米、栗、牡蠣やえび、スッポンなどで、黒い色をした食材が多いと言われます。また、“腎”は生殖器を司る臓器でもあり、これらの食材にはいわゆるアンチエイジング効果のあるものが多いです。
冬の食養生としては、”腎”を補う食材を中心としながら、からだをあたため、からだの表面を強くする(免疫力を高める)ような食事をとるとよいです。また、寒くてからだの巡りが滞りがちなので、適度に巡りをよくする食材もいれるとよいでしょう。
◆ 酒粕(さけかす):血行を良くする、お腹をあたためる
**食材の解説**
酒粕は日本酒を作るときの搾りかすで、発酵食品の一種です。最近は美容や健康に注目されることも多くなっている食品でしょう。
日本酒(清酒)は、少量飲むと血行を良くしからだを温める作用がありますが、酒粕にも同じく血行を良くしお腹を中心としてからだを温める作用があります。また、消化不良の改善する作用もあります。
現代の栄養学では、糖尿病の予防、がんの抑制、高血圧の抑制、骨粗しょう症の予防など様々な効果が認められており、美白効果もあると言われています。また、アレルギー体質の改善にも効果があり、花粉症やアトピー性皮膚炎などの改善も期待されます。
タンパク質、食物繊維のほか、ビタミンB1、B2、B6や葉酸など多数の栄養素を含んでいます。
酒粕もアルコールを含んでいますので、お酒の弱い方はアルコール分をしっかり飛ばしたり、摂りすぎないよう注意した方がよいでしょう。
◆ 葱・葱白(ねぎ・そうはく):寒気のあるカゼ、冷えの緩和
**食材の解説**
民間療法でのどのカゼにネギを首にまくとよいと言いますが、ネギの白い部分は”葱白(そうはく)”といい、漢方薬でも冷えから来るカゼの薬として用いられています。
ネギの白い部分には、寒さからくるカゼを発汗して追い払い気の巡りをよくする作用、お腹をあたためて冷えによる腹痛を緩和する作用があります。また、白い部分・青い部分ともに炎症の晴れを消して毒を解毒する作用があり、これがのどの痛みを緩和するとされる由縁でしょう。
現代の栄養学でも、ネギの白い部分には抗菌作用のある成分が多数含まれています。例えば、ネギやニンニクの匂いのもとであるアリシンは、幅広く強い殺菌力を持っており、ビタミンB1の吸収を高めエネルギーを効率的に利用できるようにします。また、アリシンを加熱すると血流をよくする成分になります。
なお、アリシンは熱に弱く水に溶けやすいので、抗菌作用を期待したいときは水にさらしたり長く煮たりしない方がよいでしょう。
ネギは、気を昇らせる作用が強いので、カゼでも汗をかきすぎているような高熱などには用いてはいけません。また、のぼせや多汗の症状がある方も控えた方がよいでしょう。どのような体質の方も食べるぎるとめやにが多くなったり脱毛しやすくなると言われているので、食べ過ぎには注意しましょう。
なお、ネギと蜂蜜は一緒に食べると中毒になるという報告もありますので、一緒に食べない方がよいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 豚肉:からだを潤し、回復させる
※ 豚肉を使った過去のレシピはこちら
◆ 山芋:滋養強壮、生殖機能を保つ、肌を潤す
※ 山芋を使った過去のレシピはこちら
◆ しょうが:からだを温める、寒さからくるカゼを追い払う
◆ きゃべつ:毛細血管の循環障害改善、臓器の機能(特に消化機能)の調節と回復
◆ しめじ:血液を補う、便秘を解消する
◆ にんじん:血液を補う
◆ ごぼう:血行を良くする、老廃物をのぞく
◆ 七味唐辛子(唐辛子や陳皮):気血の流れを良くする
酒粕の豚汁
<材料> (2〜3人前)
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豚肉(バラまたは薄切り) ・・・・ 100g
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山芋 ・・・・ 100g
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キャベツ ・・・・ 50g
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しめじ ・・・・ 100g
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にんじん ・・・・ 50g
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ごぼう ・・・・ 50g
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酒粕 ・・・・ 大さじ1と1/2
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みそ ・・・・ 大さじ1と1/2
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だし汁 ・・・・ 800cc
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しょうが ・・・・ 5g(ひとかけ)
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ネギ(白い部分) ・・・・ 1本
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七味唐辛子 ・・・・ 適量
<作り方>
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具材の野菜を食べやすい大きさに切る。豚肉も3cm程度に切る。
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だし汁と1の野菜をなべにいれ煮る。
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具材が煮立ったらアクをとり、酒粕、みそを溶き入れ10分ほど煮る。
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器に盛りつけ、すりおろしたしょうが、輪切りにしたネギを添え、好みで七味唐辛子をかける。
**** 過去の冬の薬膳レシピ ****
ゆり根とクリームチーズの卵焼き 秋の薬膳④
乾燥し肺に負担がかかりがちな秋には白いものを取り入れるとよいとされます。
秋に食べたい食材の一つ、ゆり根を使った卵焼きです。
お弁当にも、一品足りないときにも使える簡単レシピです。
精神を落ち着かせる効果もあるので、何となく不安感があったり眠れないときにもオススメです。
広葉樹の葉も色づき、肌寒くなってくると本格的な秋の到来です。
とても過ごしやすく行楽にも絶好の季節ですが、空気が冷たく乾燥しているので、うっかりするとカゼをひいてしまう季節でもあります。
日頃より免疫力を高め、乾燥を防ぐ養生を心がけることが大切です。
中医学では、秋を“肺”に負担がかかる季節としており、白い食材をとるとよいとされています。
白い食材にはからだを潤すものが多くあり、秋の乾燥からからだを守る古人の知恵とも言えるでしょう。
からだを潤す食材の代表例は、白きくらげ、白ごま、れんこん、ゆり根、梨、牛乳などです。
また、この時期には適度な脂質も必要です。
肌も乾燥しやすいことからコラーゲンが含まれるようなものもよいでしょう。
便秘がちにもなりますのでナッツなどの良質の油をとったり、発酵食品で腸内環境を整えたりするのもよいでしょう。
卵やチーズもこの時期にとるとよい食品です。
◆ 鶏卵(たまご):からだを潤し、血を補う
**食材の解説**
たまごは非常に栄養価が高く、消化しやすい優れた食品です。
コレステロールが高く、避けた方がよい食品というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際には卵黄には脂質を溶かすレシチンという成分が含まれ、卵白にもコレステロール低下作用がみられるため、食べ過ぎなければ心配はいりません。
たまごは、からだを潤す作用、血を補い胎児を安定させる作用、内蔵を補い機能を強める作用、精神を安定させる作用があります。
空咳が出るとき、声がかれてしまったときに用いるとよいとされています。また、自律神経失調症にも効果があるとされています。
現代の栄養学では、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素を含む優れた食材と言えます。
抗うつ・抗アレルギー作用や尿を作る機能を促進するメチオニンや精神安定物質を作るトリプトファンなど必須アミノ酸9種類すべてが含まれています。鉄分や亜鉛なども豊富に含まれており、貧血にも効果があります。
胃腸の弱い方は、卵白は固まった状態、卵黄は半熟でとるともっとも消化しやすいです。
ねぎやしょうがと一緒に食べると息切れしやすい、妊婦が鯉といっしょに食べると新生児が皮膚疹を引き起こしやすいと古文献には書かれているので、組み合わせには一応注意した方がよいでしょう。
◆ 百合根(ゆりね):肺を潤し空咳をとめる
**食材の解説**
ゆり根には、肺を潤し咳をとめる作用、ストレスを解消し動機を収め精神を安定させる作用、胃腸の機能を活発にする作用、通便・利尿作用などがあります。
特に、慢性気管支炎や空咳の改善や、精神を安定させ不眠の解消などに用いることが多くあります。
現代の栄養学でも同様に、煎じた液に咳をとめる効果、アレルギー性ぜんそくの抑制作用、安眠作用が認められています。また、ビタミンB2を多く含み、粘膜を丈夫にしたり、動脈硬化や老化の予防に有効とされています。
からだが冷えてカゼをひいたときや、痰が多い咳には逆効果です。また、お腹が冷えている時や下痢をしているときも避けた方がよいでしょう。
※ ゆり根を使った過去のレシピはこちら
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ チーズ:口の渇きや空咳を抑える、便秘を解消する
ゆり根とクリームチーズの卵焼き
<材料> (2人前)
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たまご(M) ・・・・ 2個
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ゆり根 ・・・・ 20g
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クリームチーズ ・・・・ 20g
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塩 ・・・・ 小1/2
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こしょう ・・・・ 少々
<作り方>
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ゆり根をきれいに洗い、食べやすい大きさに切る
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たまごを溶き、塩・こしょうを入れ混ぜる
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油をひいたフライパンでゆり根を炒め、火が通ったらたまごを流し入れ、クリームチーズも適当な大きさにわけていれる
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チーズがこげないように手早く混ぜ、全体に火が通れば完成
☆☆ 過去の『秋の薬膳』レシピ☆☆
秋野菜のはちみつマリネ 秋の薬膳③
秋の野菜をたくさん使ったはちみつ入りのマリネです。
秋の野菜やはちみつには、秋に弱くなる粘膜を強くするものがたくさん含まれています。
簡単に作れるので、秋の常備菜としてもオススメです。
夏は暑さに対処するかが重要ですが、秋の初めには、からだにこもったままの余分な熱を取り除きながら、夏に弱くなった粘膜を強くし、本格的な秋を迎える準備をすることが大切です。
もともとぜんそくを持っている人は、秋に症状が出やすい方も多いでしょう。また、夜風が涼しくなり、朝起きたらのどが痛くなっていた、ということもあります。
秋は、乾燥しやすい季節であり、“肺”を大切にすることが養生のポイントです。“肺”といっても、のどや鼻の粘膜なども含んだ呼吸器全体ととらえるとわかりやすいと思います。
粘膜は乾燥すると本来の機能を発揮できず、外から入ってくるウィルスなどがからだの中に入りやすくなってしまいます。よって、粘膜の適度な湿度を保つことが大切ですが、夏の暑さにより粘膜も乾いてしまい、そのまま秋を迎えてしまう方も多くみられます。
余熱を取り除きながら、粘膜の潤いを保ち、粘膜を強くする食材を多くとるようにしましょう。
◆ 茄子(なす):体内にこもった熱をおさめる
**食材の解説**
『秋なすは嫁に食わすな』とよくいいます。秋においしくなるのでお嫁さんには食べさせない、とも考えられますが、薬膳から考えると早く子供を授かってほしいお嫁さんに、からだを冷やしすぎないようとの心使いと解釈もできます。それほどにナスは体の熱をとり、気を降ろす作用に優れています。
夏バテで、熱っぽくのぼせるときに食べると非常に効果があるでしょう。
また、からだに熱毒がたまるとできやすい口内炎やできものなどの改善にも効果があるとされています。
現代の栄養学は、コレステロール値の降下作用(皮に含まれるナスニン、サポニン)、利尿作用(カリウム)、老化防止作用(ポリフェノール、紫色の皮に含まれる)があるとされています。また、ルチンが含まれており、毛細血管を丈夫にする作用もあります。
胃腸を冷やす効果があるので、涼しい季節は食べ過ぎに注意しましょう。また生姜や唐辛子などの薬味と一緒にとった方がよいでしょう。
◆ 南瓜(かぼちゃ):からだを潤し、胃腸を元気にする
**食材の解説**
かぼちゃは秋の野菜のイメージがあるかと思いますが、実際には夏に収穫されます。秋頃に熟し甘く食べごろになります。切らずに貯蔵すると冬までもち、冬場に不足しがちな栄養素をとることができ、冬至のころに食べるとカゼの予防にもなると食される習慣があります。
かぼちゃは、胃腸の吸収力を高めて元気をつける、炎症を抑えて痛みを止める効果があります。また、からだを潤す効果があります。中医学では食材の色で大まかな効能を分けることがありますが、黄色の食材は粘膜を強くするものが多いとされており、かぼちゃも粘膜の一つである胃腸を強くし、免疫力を上げるよい食材です。
現代の栄養学では、コバルトを多く含むためインシュリンの分泌を高める作用や、ビタミンE、βーカロチン、葉酸などが豊富に含まれており、夏バテの解消や、免疫力を高める効果などがあります。
なお、糖質やでんぷんも多いので、食べ過ぎないようにしましょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 玉ねぎ:気の巡りをよくする、消化を促進する
◆ さつま芋:胃腸を丈夫にし元気をつける、からだを潤す
◆ エリンギ:からだを潤す
◆ れんこん(加熱):胃腸を丈夫にする、血中の余分な熱をとり血行を良くする
◆ はちみつ:からだを潤す、胃腸を丈夫にする →はちみつの詳細な効能についてはこちら
秋野菜のはちみつマリネ
<材料> (2〜3人前)
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なす ・・・・ 2本
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かぼちゃ ・・・・ 100g
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玉ねぎ ・・・・ 小1個
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さつま芋 ・・・・ 小1本
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エリンギ ・・・・ 80g
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れんこん ・・・・ 100g
(マリネ液)
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はちみつ ・・・・ 大さじ1
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白ワイン ・・・・ 大さじ2
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白ワインビネガー ・・・・ 大さじ3
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オリーブオイル ・・・・ 大さじ1
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塩 ・・・・ 小さじ1/2
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こしょう ・・・・ 少々
(お好みでハーブをいれる)
<作り方>
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マリネ液を混ぜておく
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野菜を食べやすい大きさに切り、グリルする
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2を熱いうちに1に混ぜ、10分ほどおく
☆☆ 過去の『秋の薬膳』レシピ☆☆
豆腐とオクラのスープ 夏の薬膳⑥
前回に引き続き、夏の薬膳です。
昆布茶を使った豆腐とオクラのスープ。
からだの水分を補いながら、疲労回復、食欲不振を解消するレシピです。
立秋を過ぎると暑い日が続いても徐々に自然もからだも秋への準備を始めます。
夏の疲れは夏のうちに解消し、秋への準備を早めにすることが、次の季節を快適に過ごすコツです。
夏の後半は、暑さにより溜まった余分な熱を取り除くことはもちろんですが、水分バランスを整え、粘膜を強くし、免疫力を上げることが大切です。
これは来る秋の季節の特徴、“涼燥”、つまり気温の低下と乾燥に備えるためです。
秋になれば涼しくなり、湿度も下がりとても過ごしやすい時期です。しかし、いつまでも夏の気分でいると、夜風でお腹を壊したり、乾燥でのどが痛くなったりします。
気温の低下には、必要以上に冷たいものをとることや、夜にお腹を出して寝ることを避けることが大切です。
乾燥には、のどや鼻をはじめとした粘膜の水分を保つことが大切です。
夏の暑さで内側にこもった熱を取り除き、失われた水分を補いながら、夏バテを解消しましょう。
◆ 豆腐(とうふ):体内にこもった熱をおさめ、からだを潤す
**食材の解説**
豆腐は2000年以上までに中国で発明され、奈良時代に日本に渡ってきました。今は柔らかいものが多いですが、昔は石の上に落としても割れないほど固かったそうです。
豆腐はからだの中にこもった熱を収め、内蔵を潤す効果があり、肺に熱があるような咳をする時などに用いられます。また、唾液などの分泌を促し口の渇きを抑える、解毒する、胃腸の気の巡りをよくし老廃物を排泄するなどの効果があります。
現代の栄養学でも豆腐は健康食品としてみられることが多い食材です。原料である大豆のままではタンパク質の吸収はされにくいですが、豆腐にすることで強化吸収が高くなります。絹ごし豆腐よりも木綿豆腐の方がタンパク質やカルシウムが多く含まれます。
なお、胃腸を冷やす効果があるので、下痢をしやすい方は控えた方がよく、冷や奴よりも加熱した調理でとったり、生姜やネギ、シソなどの薬味と一緒にとった方がよいでしょう。
また、プリン体を多く含むため、痛風の方は控えた方がよいでしょう。タンパク質が多いため、腎炎の方も控えめに。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 秋葵(オクラ):食欲不振を解消する、疲労回復、(特に夏の)便秘を解消する
◆ 昆布:熱を収める、利尿してむくみを解消する、痰を切る
◆ 椎茸:夏バテを解消し、余分な熱を収める、胃腸を養い元気をつける
豆腐とオクラのスープ
<材料> (2人前)
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豆腐 ・・・・ 50g
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オクラ(小) ・・・・ 2本
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しいたけ(小) ・・・・ 2個
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昆布茶 ・・・・ 小さじ3
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水 ・・・・ 300cc
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塩 ・・・・ 少々
<作り方>
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豆腐をさいの目に切る。オクラは輪切り、しいたけは薄切りにしておく。
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沸騰した湯に昆布茶をいれ、1をいれる。
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塩で味を整える。
※ 冷え性の方や、胃腸の冷えが気になる方は、生姜を加えるとよいでしょう。
☆☆ 過去の『夏の薬膳』レシピ☆☆
スイカとトマトのジュース 夏の薬膳⑤
前回に引き続き、夏の薬膳です。
今回も夏の暑さを上手にしのぐレシピで、『スイカとトマトのジュース』です。
熱中症の予防だけでなく、熱中症や暑気あたりになったかも、と思ったときに飲むとよいでしょう。
暑い日には冷たいものがおいしく感じます。アイスクリームやかき氷、キンキンに冷えた飲み物を毎日のようにとる人もいるでしょう。しかし、冷たいもののとり過ぎは胃腸の働きを悪くしてしまうことがあります。
からだを冷やすには実は2通りの方法があり、表面的な温度を下げる方法とからだの芯の温度を下げる方法があります。
表面的な温度を下げる方法は、冷たい食べ物、飲み物をとることが有効です。日中暑い中にいる時やかえってきた直後に有効で素早くからだの表面の温度を下げたりします。これは、一時的には涼しさを得られるので、からだも冷えたような気になるのですが、実際には胃腸が冷えているだけで、からだの芯の熱はとれていないことが多いです。
からだの芯に熱がこもった状態とは、からだのほてりがとれない、いくら冷たい飲み物を飲んでものどの渇きが癒えない、などの状態です。日中も暑く、熱帯夜が続くときになりやすいです。
からだの芯に熱がこもった状態が続くと、暑気あたりや夏バテの状態になり、からだのだるさやのぼせ、空咳などの症状が出てきます。
からだの芯の熱をとるには、お小水や排便をスムーズにし、一緒にからだの熱を排出させることが日常的にできる養生です。
その作用がもっとも優れている食材の一つが、スイカです。
◆ 西瓜(スイカ):強い利尿作用で暑気あたりを解消し、のどの渇きをおさえる
**食材の解説**
非常に強い利尿作用があり、からだの熱を取り除きます。また、口の渇きを抑えるので、暑気あたりや熱中症の予防に最適です。また、口内炎にも効果があるとされています。
スイカは、“天生の白虎湯”とも言われます。白虎湯とは、高熱や口の渇き、多汗などの症状があるときに使われる漢方薬で、スイカの熱を取り去る効果が非常に強いことを言い表しています。
また、スイカの皮は“西瓜翠衣(せいかすいい)”といい、強い利尿作用と熱をとる漢方薬になります。
現代の栄養学からみると、トマトよりも多くのリコピンを含み、強い抗酸化作用があります。また、カリウムやシトルリンが含まれ、強い利尿作用があり、血圧を下げる作用がみられます。
非常にからだを冷やす効果が強いので、夏以外の季節は控えた方がよいでしょう。冷え性の人は、大量に食べないようにし、できるだけ日中に食すようにしましょう。
また、利尿作用が強いので、夜にたくさん食べると、夜中にトイレに行くことになりますので注意しましょう。
スイカは冷やしすぎるとおいしくないため、室温に戻してから食べるとよいです。さらに、キンキンに冷えたスイカは胃腸を冷やしすぎるため消化不良になります。
◆ 西紅柿・蕃茄(トマト):熱をおさめ、消化を促進する
**食材の解説**
中医学では、夏には赤い食材をとるとよいとされています。トマトはその代表例で、夏の養生にかかせない効能がたくさん含まれています。
トマトには、渇きを抑える効果、からだの余分な熱を収め暑気あたりを解消する効果、食欲を高め食欲を促進する効果、血中の熱をおさめ解毒する効果、などがあります。
現代の栄養学からみても、抗酸化作用・抗ガン作用があるとされるリコピン、毛細血管を丈夫にするビタミンP、ビタミンC、カリウムなど多くのビタミン、ミネラルなどを含みます。
トマトもからだを冷やす作用が強いため、寒い時期や冷え性の方は控えた方がよいでしょう。また、からだに水分をためる効果が強いので、胃腸の弱い方やむくみやすい方は注意しましょう。
青く未熟なトマトには、ソラニンという毒が含まれているので、よく熟したものを食べるようにしてください。未熟なものは、太陽に当てておくと赤く熟してきます。リコピンは皮に多く含まれるので、抗酸化作用を期待するときは皮ごと食べた方がよいでしょう。
スイカとトマトのジュース
<材料> (1人前)
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トマト(大) ・・・・ 1個
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スイカ ・・・・ 250g
※ 分量は目安です。同じくらいの分量が目安ですが、スイカが多い方が飲みやすいでしょう。
<作り方>
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トマトの皮を湯むきし(または包丁でむき)、適当な大きさに切る
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スイカの皮をむき、適当な大きさに切る
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ジューサーにかけ、あみでこす
※ お好みで塩やレモンの果汁、砂糖を加えてもよいでしょう。
☆☆ 過去の『夏の薬膳』レシピ☆☆
ゴーヤと豚肉のひやむぎ 夏の薬膳④
夏は心臓に負担がかかりやすい季節のため、中医学では“心”を大切にする養生が必要な季節とされています。
“心”には、単純に心臓だけではなく、血管や精神状態のことも含まれています。
たとえば暑くて汗をかくと、血液中の水分量も減り、血液の濃度が濃くなり、いわゆる“ドロドロ血”の状態になります。すると、もともと健康な人でも脳梗塞や脳溢血になりやすくなると言われています。ですので、血管を柔らかくしたり、血液の濃度を正常に保つことが必要になります。
また、熱中症になると頭がもうろうとしたりします。熱中症にならなくても暑気あたりや熱がからだの中にこもると寝付きが悪くなったり、イライラしたりし、あるいは、夏になるとハイになったりと、いつもと少し違う精神状態になりがちです。
昔の人は、これらの心身への影響を見て、夏は“心”を大切にするようにしていたのだと思います。
今回は、からだの余分な熱を取り除きながら、夏バテ防止にもよい薬膳を紹介します。
夏は食欲がなくなり、手軽なそうめんやひやむぎなど麺類が多くなりがちですが、素早いエネルギーチャージには有効ですが、麺だけだと栄養が偏り、夏バテになりやすくなります。できれば一緒にタンパク質やからだの熱を取り除き、疲労回復を促す食材と一緒にとるとよいでしょう。
◆ 苦瓜(にがうり、ゴーヤ):熱をとり、暑気あたりを解消する
**食材の解説**
沖縄料理の郷土料理、ゴーヤチャンプルーが有名な苦瓜ですが、からだの熱を取り除く作用が非常に優れています。
中医学では、苦味のある食材には熱をとったり、解毒したり、炎症を抑えたり、高ぶった気などを収める性質があるとしています。
苦瓜は、まさに苦味の強い食材で、暑気あたり、目の充血、口の乾きを改善し、高ぶった気を抑える効果があります。
薬膳の古い文献である『本草綱目(ほんぞうこうもく)』には、“苦瓜の果実には悪い熱を取り除き疲れをいやす”、“視力を回復する”とあります。
現代の栄養学では、 免疫力を高め炎症をしずめる効果、血圧を下げる効果、血糖値を下げる効果があるとされています。また、トマトの5倍のビタミンCを含み、さらに抗酸化作用に優れ、血管の老化や動脈硬化を防ぐとされています。
苦瓜の様々な効果は苦み成分に含まれているものが多いため、苦みを取り除きすぎないように食すのがすすめです。
からだを冷やす効果が強いため、冷え性の方や寒い時期には食さない方がよいでしょう。また、気を降ろす効果も強く、現代の栄養学でも流産の誘発作用が認められているため、妊娠初期や中期の方はさけた方がよいでしょう。低血糖の方もさけた方がよいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 豚肉:からだを潤し、体力を回復する
※ ビタミンB1が豊富で、加熱時間を短くし、アリシンを含む食材(たまねぎやニンニクなど)、ビタミンCが豊富な食材との相性が良い。
◆ 小麦(ひやむぎ):精神不安をやわらげる
※ 食べ過ぎるとお腹がはりやすくなる。殻には消化不良を解消する働きがあるので、全体を食べるとよい。
ゴーヤと豚肉のひやむぎ
<材料> (2人前)
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ひやむぎ ・・・・ 200g
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豚ひき肉 ・・・・ 200g
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ゴーヤ ・・・・ 1/2本
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生姜 ・・・・ ひとかけ
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にんにく ・・・・ ひとかけ
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酒 ・・・・ 大さじ2
-
しょう油 ・・・・ 大さじ2
- 塩、こしょう ・・・・ 適量
<作り方>
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ゴーヤを半月切りにし、塩でもみ、しんなりしたら軽く洗い、水をしぼる
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にんにく、生姜を粗みじんにする
- ひやむぎをゆでる
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フライパンに2と油を入れ、香りがたったら豚ひき肉を炒め、火が通ったらゴーヤも炒める
- しょう油、酒を入れ、塩、こしょうで味を整え、ひやむぎの上にかける
☆☆ 過去の『夏の薬膳』レシピ☆☆
きゅうりの梅肉あえ 夏の薬膳③
夏は暑いものですが、あまりに暑いとからだに悪い影響を及ぼすことがあります。いわゆる熱中症や暑気あたりです。中医学では、悪影響を及ぼす暑さのことを“暑邪(しょじゃ)”といいます。
意外に気がついていない人も多いのですが、夏風邪だと思っていたら暑気あたりだったということもあります。暑気あたりは、からだの中に余分な熱がこもり、水分のバランスが崩れてしまった状態です。
暑気あたりの症状
- 無性にのどが渇く
- からだがだるい
- 熱が出る
- のどが痛くなる、はれる
- (乾いた)咳が出る
- 目が痛い・乾く、目が充血する
- 頭痛がする
- のぼせる、頭が熱い
- 後頭部や肩がこる、痛い
- 口内炎ができる
- 眠りが浅い、寝付きが悪い
- イライラしたり不安感があり、そわそわする
- 動悸がする
夏場の体調管理には、からだにこもった熱を取り除き、からだの水分のバランスを保つことが重要です。
たくさん汗をかいて、からだの水分バランスが崩れがちな上、汗と一緒にカリウムなども排出されてしまい、夏バテもしやすくなります。
熱中症や暑気あたりを予防するには、十分な水分補給をすることが重要ですが、あわせて必要なミネラルをとっておく必要があります。
手軽な食べ方で、熱中症や夏バテ予防になる食材を取り入れるとよいでしょう。
◆ 胡瓜(きゅうり):体にこもった熱を収め、むくみをとる
**食材の解説**
夏野菜の代表格のきゅうりは、よく知られているようにむくみの解消など、利尿作用に優れています。ウリ科の食べ物は、単純に水分の排泄を助けるだけでなく、からだの水分バランスを整えてくれるので、むくみとのどの渇きの解消の両方によいです。
また、のどの痛み(はれて熱を持った痛み)の解消などからだにこもった熱を取り除く効果があります。
現代の栄養学では、血圧降下作用などがあるとされており、これはきゅうりに含まれるカリウムがナトリウムの排泄を促すためです。きゅうりの利尿作用はこのカリウムによるものです。汗といっしょにカリウムが出てしまうことで夏バテになることも多いため、夏バテの予防にも有効でしょう。
からだを冷やす効果や気を降ろす効果が強いため、寒い季節や冷え性の人には適さず、お腹が冷えてしまうため妊娠中の方もさけた方がよいでしょう。冷え性の方などは、しょうがやネギ、唐辛子など、温める食材と一緒にとることで冷やし過ぎを防げます。
また、生のきゅうりはビタミンCを破壊する酵素(アスコルビナーゼ)が含まれています。ビタミンCを含む食材と一緒にとるときは、きゅうりを加熱したり、酢を加えるなどしてください。
◆ 梅(うめ):口の乾きを収める
**食材の解説**
梅のもっとも一般的な食べ方は、梅干しでしょう。中医学では、酸味のある食材は収斂効果があるとされ、汗のかき過ぎの予防などに役立ちます。
漢方薬では、未成熟な梅の実を燻蒸したものを“烏梅(うばい)”といい、のどの渇き、空咳、慢性下痢を止める効果、回虫による腹痛の緩和の効果などがあり、梅干しでも同様の効果があるとされます。ほかに、からだの痛みの軽減などにも効果があると、古書には記されています。
現代の栄養学では、クエン酸が豊富に含まれており、血液中の乳酸などの老廃物を分解して排出させ、筋肉痛の改善や疲労回復、老化防止作用があるとされています。また、抗菌作用や回虫への効果などが認められています。
酸味が強い食材のため、胃酸が多い人は控えめにした方がよいでしょう。また、梅干しの場合塩分も多めですので、多くでも一日2〜3個にとどめた方がよいでしょう。
下痢をとめたり、抗菌作用を期待する場合は、梅干しや梅肉エキスなどがよいでしょう。口の乾きを抑えたり、疲労回復の効果を期待する場合には、梅シロップや梅ジャムでもよいでしょう。
きゅうりの梅肉あえ
<材料> (2人前)
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きゅうり ・・・・ 2本
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梅干し ・・・・ 1個
<作り方>
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きゅうりを乱切りにし、かるく塩(分量外)でもむ
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梅干しをたたき、ペースト状にする
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1のきゅうりのさっと洗い、水分を切り、2とあえる
もやしとらっきょうのサラダ 梅雨の薬膳①
本格的な夏を前に、じめじめとした梅雨の季節があります。
雨や曇りの日が続き、湿度が高くなるのがこの時期の特徴ですが、体の中も同様に湿気が溜まりやすい季節です。
体の中に湿気が溜まると次のような症状がでます。
体の中に湿気が溜まったときに出やすい症状
体の中に湿気がたまる原因としては、湿度など外的環境がまずあげられます。
日本の夏は高温多湿のため、梅雨から夏にかけてこのような症状が出やすくなります。
また、食べ物や飲み物など食習慣から湿気が溜まる場合もあります。
湿気をためやすい食べものの例として、
・ 甘いもの
・ 冷たい飲み物
などがあげられます。
いわゆる”夏バテ”の状態が、まさに湿気が溜まった状態です。
暑いからといって、毎日冷たい飲み物やアイスばかり食べていると、体の中に湿気がたまり、食欲がなくなったり、体がだるくなったりします。
夏バテの予防のためにも、梅雨の時期に体の中に湿気をためない養生をすることが大切です。
今回は、梅雨から夏にかけて食べたい、体の余分な水分を取り除く食材を中心に紹介します。
◆ 緑豆もやし(りょくとうもやし):体の余分な熱や水分を取り除く
**食材の解説**
もやしは緑豆の発芽したもので、リーズナブルで料理も簡単にできる食材ですが、その効能はまさに夏にうってつけです。
緑豆は、夏の暑さや余分な水分を体から取り除く作用に優れています。暑さで体がほてった時、むくんでしまった時に最適な食材です。また、アルコールの解毒作用もあるため、二日酔いを早く解消する効果があります。
中国では、夏場の暑さを乗り切るために、緑豆のおしるこがよく飲まれ、熱中症にならないよう外出先でも食べれる缶の緑豆しるこも売られています。
その緑豆が発芽した緑豆もやしも同じような効果があり、体の余分な熱や水分を取り除く効果があります。(緑豆の方がより効果が強いです。)
現代の栄養学では、コレステロール値の効果作用、有機リン(農薬)の排出や発ガン性物質の抑制の効果があるとされています。
体を冷やす効果が強いので、冷え性の方や妊娠中の方は体調の悪いときは控えた方がよいでしょう。また、解毒作用が強いため、薬の効能を下げてしまうこともあります。
◆ 辣韭・薤白(らっきょう):気の巡りをよくし、体を温める
**食材の解説**
梅雨の時期に保存食として酢漬けにするが多いらっきょうですが、梅雨の時期に食べたい食材です。
体に湿気が溜まると、体の中の水分の流れも悪くなりますが、同時に気の流れも悪くなります。
らっきょうには気の流れを良くし、体を温める効果があります。特に胸やお腹の冷えを解消したり、つまった感じを取り除く効果があり、狭心症や胸のしびれに効果があるとされています。
現代では、抗菌作用、高脂血症の予防に効果があるとされいます。
体を温める効果が強いので、熱っぽい体質や微熱のある方はさけた方がよいでしょう。また、酢漬けは生のらっきょうを用いているため、少量なら胃腸の働きを活性化しますが、食べ過ぎると胃の粘膜を傷つけるので注意が必要です。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 紫蘇:気の巡りをよくする、魚介類(特にカニ)の中毒の解毒をする
◆ トマト:のどの渇きなどを抑える、食欲不振の改善
もやしとらっきょうのサラダ
<材料> (2〜3人前)
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もやし ・・・・ 1袋
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らっきょう(甘酢漬け) ・・・・ 4個
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ミニトマト ・・・・ 4個
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しそ ・・・・ 4枚
(ドレッシング)
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しょうゆ ・・・・ 大さじ1
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酢 ・・・・ 大さじ2
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砂糖 ・・・・ 小さじ2
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ごま油 ・・・・ 大さじ1
<作り方>
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ドレッシングの材料を混ぜ合わせておく。
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らっきょうを粗みじん切り、ミニトマトを輪切り、しそを千切りにしておく。
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もやしをさっとゆで、水分を切ったら熱いうちにドレッシングの半分の量と混ぜる。
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お皿に3をもり、ミニトマト、らっきょう、しそをのせ、残りのドレッシングをかける。
にらの花椒ソース 便秘の薬膳③
今回は冷えタイプの便秘の薬膳です。
(便秘のタイプの紹介はこちらから▶︎便秘の薬膳①)
冷えタイプの便秘では、冷えることにより、腸のぜんどう運動が弱まり、便秘になるタイプです。もともと冷え性の人の人に多く、お腹やからだを温め、腸のぜんどう運動を促すことが改善につながります。
お腹を中心に体が温まる食材を積極的にとるとよいでしょう。また、冷たいものを控えたり、お腹や下半身が冷えないような服装にしたり、運動したりすることも、全身が温まるため有効な方法です。
韮(にら)
スタミナ食材といって真っ先にあげられるものの一つですが、中国語でも「起陽草」(陽気を起こす草=からだを温めて機能を活発にしたり、精力を増強させたりする)と言われています。
効能としては、胃腸など腹部を温め気の巡りを改善する、臓器をあたためて機能を回復させる、腰や膝の冷えをとり丈夫にする、生殖機能を高めることがあげられます。また、鼻血や吐血などあらゆる出血の改善、胸のしびれの改善、解毒作用があるともされています。
現代の研究でも生殖機能を高める作用、血液循環をよくする作用、抗菌作用があることがわかっています。また、ニラやネギ、ニンニクの特有の香りはアリシンという成分によります。アリシンは、豚肉やレバーなどに含まれるビタミンB1の吸収を高めるほか、発ガン性物質の解毒酵素を助ける作用、抗酸化作用が認められています。
からだが冷える人に適した食材ですが、暑がりの人や高血圧の人、肝炎の人はあまり食べない方がよいでしょう。
花椒(かしょう)・山椒(さんしょう)
ピリリとした独特の辛みがあり、麻婆豆腐にも使われています。
こちらもお腹を温める効果があり、腹痛を治めます。一般的には、冷えによる下痢に用いることが多いので、ほかの便秘のタイプの方には不向きです。
ほかに、体の湿気を取り除く効果、殺虫効果(回虫など)があるほか、虫歯の穴につめると痛みを軽減させるとされています。生理痛にも効果があります。
加熱時間が長くなると、成分が揮発してしまうので注意してください。
その他の食材
- 生姜:胃を温める効果
- 黒砂糖:お腹を冷えをとり、痛みを抑える
にらの花椒ソース
<材料> (2人前)
- にら ・・・・ 1束
(ソース)
- 生姜 ・・・・ 5g
- ごま油 ・・・・ 大さじ1
<作り方>
- ごま油と花椒をフライパンで熱し、香りがでたら火から下ろす。
- みじん切りにした生姜にし、しょうゆ、酢、黒砂糖と1をあわせる。
- ニラを手早くゆで(1分程度)、冷ます。
- ニラをたべやすい大きさに切り、2のソースをかける。
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