あさりとごぼうの豆乳クラムチャウダー 春の薬膳⑨
寒い日が続くものの立春を迎え暦の上では春に入りました。
身体にたまっていた余分なものを出し、肝臓の解毒機能をアップしておくと春本番の準備となります。
肝機能を高めるあさりやデトックス効果の高いごぼうなどこの時期に摂っておきたい食材です。
また、乳脂肪分の多いものは春に疲れやすい肝臓と胃腸に負担がかかるので、さっぱりとした豆乳のクラムチャウダーにしました。
春は肝臓に負担がかかる季節で、春も本番を迎えると肝臓がフル稼働になります。
肝臓に負担がかかってくるとイライラしてきたり、貧血になったり、風邪をひきやすくなったり、とさまざまな症状が出てきます。
今のうちにしっかりと冬に余分に貯めてしまった老廃物を出し、肝臓の負担を少なくしておくことが早春の養生のポイントです。
また、肝臓の機能がアップできるものもとっておき、肝臓自体を強くしておくこともよいでしょう。
2月〜3月はインフルエンザ、ノロウイルスなどウイルス性の疾患が流行ったり、花粉症で辛いという方が多い時期でもあります。
肝臓の機能を上げ、しっかり解毒をしておくことは、ウイルスにかかりにくくなったり、花粉症の症状をやわらげることにもつながります。
気持ちも身体も軽くして、あたたかな春を心待ちにして日々を送れるとよいですね。
あさりとごぼうの豆乳クラムチャウダー
<食材のポイント>
◆ 牛蒡(ごぼう):老廃物を取り除く、炎症を取り除く
**食材の解説**
ごぼうは、喉の痛みや腫れを取り除く、体内の毒素や老廃物を取り除く、といった効果があります。
古くから、ごぼうは身体を温めるとされていますが、これは発汗作用や利尿作用から余分な水分を取り除くためだと言われます。
ごぼうを切ってそのまま煮ておくと茶色くなりますが、これはリグニンというポリフェノールで腸の働きを活発にし、通便効果があります。
ごぼうの有用な成分の多くは皮やアクの部分に含まれているので、皮をむきすぎたり、水にさらしすぎたりすると効果が薄れるしまいます。
最も食物繊維を含む野菜のごぼうですが、一般に他の国では食べられていません。
中国でも明の時代までは食用されていたそうですが、現在は種(牛蒡子)を生薬として用いるのみだそうです。
食物繊維による整腸作用のほか、女性ホルモンの分泌を促すアルギニンが含まれていたり、抗菌・抗真菌作用があります。
繊維質が多いので、胃腸の弱い方は控えめに。またミネラルの多いものと一緒に摂るのも吸収されにくくなるので控えめにした方がよいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ あさり:余分な熱をとる、貧血を予防する▶︎詳細な説明はこちら
◆ じゃがいも:胃腸を丈夫にする
◆ 人参:胃腸の働きをよくする、貧血を予防する
◆ 玉ねぎ:気血の流れを良くする
◆ 豆乳:からだを潤す
<材料>(3〜4人分)
-
あさり(殻付き) ・・・・ 300g
-
ごぼう ・・・・ 1/2本
-
じゃがいも(小) ・・・・ 1個
-
人参 ・・・・ 1/4本
-
玉ねぎ ・・・・ 1/4個
-
ベーコン ・・・・ 3枚
-
調製豆乳 ・・・・ 200ml
-
塩 ・・・・ 小さじ1/2
-
水 ・・・・ 300ml
<作り方>
-
あさりは砂抜きをしておく。玉ねぎはみじん切り、ごぼう、じゃがいも、人参は1cm角、ベーコンは1.5cm幅に切る。
-
鍋にあさりと水を入れ火にかけ、貝が開いたらあさりとスープを分ける。あさりは殻から身を外しておく。
-
鍋に油を引き、玉ねぎを透き通るまで炒め、ベーコンを加えて炒める。ごぼう、じゃがいも、人参を加えたら、2のスープを加え野菜が軟らかくなるまで煮る。
- 豆乳、あさりを加え温め、塩を加え味を整える。
(注意:沸騰させると分離するので温める程度に加温してください)
**** 冬におすすめの薬膳レシピ ****
ニラと白菜のエビ炒め 冬の薬膳⑨
小寒、大寒は1年で最も寒い時期になり、冬の養生の総仕上げの時期です。
身体を温めてくれる食材をできるだけ取り入れ、寒さに負けないようにしたいもの。
起陽草ともいわれるニラと身体を温め腎を補うエビの炒め物です。
身体を冷やすとよくない、と最近では広く認知されるようになり、温活など冷やさないよう心がけている方も多いと思います。
冷たいものを飲まない・食べない、冷えない服装にする、お風呂に入る、…などいろいろな方法があるかと思いますが、身体を温める作用のある食べ物をとることも一つです。
東洋医学における冬の養生でも、まずは身体を冷やさないことが挙げられます。
冬の食養生では、身体を温めてくれる食材をベースに献立を立ててみるのもオススメです。
<身体を温めてくれる食材>
えび、まぐろ、羊肉、鹿肉、
にら、ねぎ、らっきょう、しそ、しょうが、
こしょう、山椒、唐辛子、八角、フェンネル(小茴香)、シナモン、黒砂糖など
身体を温めてくれるものはスパイスにも多いので、スパイスを加えてみるものよいでしょう。
なお、冬だからといって身体を温めるものばかりをとりすぎると、身体の中が乾燥してしまいます。
食養生の基本として、陰陽のバランスを保つことも重要ですので、身体を温めるものと身体を潤すもの・余分な熱をとるものをバランスよくとる必要があります。
例えば、白菜、大根、れんこん、かぶ、ほうれん草、牡蠣、など冬においしくなるものばかりです。
旬のものを取り入れつつ、身体を冷やさないよう心がけてください。
ニラと白菜のエビ炒め
<食材のポイント>
◆ 海老(エビ): 身体を温める、腎を補う▶︎詳細な説明はこちら
◆ ニラ:身体を温める▶︎詳細な説明はこちら
◆ 白菜:胃腸を整える
<材料>
-
ニラ ・・・・ 一束
-
白菜 ・・・・ 1/8株
-
干し桜えび ・・・・ 10g
-
生姜 ・・・・ ひとかけ
-
しょう油 ・・・・ 小さじ1〜2
-
酒 ・・・・ 大さじ1
-
だし汁 ・・・・ 50ml
-
水溶き片栗粉 ・・・・ 片栗粉 大さじ1、水 大さじ2
<作り方>
-
ニラは5cm程度、白菜は1cm幅に切る。
-
千切りにした生姜と油をフライパンにいれ火にかけ、香りがたったら白菜を炒める。白菜がしんなりしたらニラ、桜えびを加え炒め、しょう油、酒、だし汁をいれる。
-
水溶き片栗粉をいれ、全体にとろみがでるまで炒める。
**** 冬におすすめの薬膳レシピ ****
長芋と大根のポン酢漬 冬の薬膳⑧
年末年始は御馳走や甘いものが多く胃腸に負担がかかりがち。
お食事の量を調整することも必要ですが、消化を促進し調子を整えてくれるものを摂るのも一つです。
ポン酢で漬けておくだけで箸休めにも使えるので、ちょっと余ったときに常備しておくのもよいです。
クリスマスに忘年会、お正月に新年会と、年末年始は食べ過ぎたり飲み過ぎたりしがちな時期です。
もちろん暴飲暴食を避けた方がよいですが、難しいことも多いでしょう。
少し食べ過ぎたな、胃腸が疲れ気味だなと思ったときは食事の量や内容で調節することも必要です。
大根も長芋(山芋)もどちらも消化酵素を含み、胃腸の働きを助けてくれます。
食べ過ぎた時など消化があまりできてない時などによいです。
甘いものや生もの、冷たいもの(もちろんビールやアイスクリームも含みます)が多い場合は、胃腸に湿気がたまり、量を食べ過ぎてなくても消化不良になります。
その場合は、お腹の湿気をとる必要があり、これらも食べ物や飲み物を控えることはもちろんですが、山椒など湿気ととってくれる食材を取り入れることもよいでしょう。
胃腸が弱ると免疫力も下がり、風邪やインフルエンザなどもかかりやすくなります。
おいしいものも食べ過ぎ・飲み過ぎには十分注意してください。
山芋と大根のポン酢漬
<食材のポイント>
◆ 大根:消化を助ける、痰を出やすくする
**食材の解説**
冬の食卓には欠かせない野菜の一つであり、在来種もたくさんある大根。
大根役者や大根足など現在ではあまりよいイメージでない言葉が多いですが、元々は真っ白な色から連想されたものであった説もあり、白い色から神聖なお供え物でもあったようです。
食材としても大根は非常に有用な食べ物で、その効果は朝鮮人参にも劣らない、と言われるほどです。
大根には、消化を促す効果、痰を出しやすくする効果、気の巡りをよくする効果、寒気からの風邪を回復する効果、解毒する効果などがあります。
民間療法でも痰きりや咳止めに大根はちみつを飲むとよいとされています。
実際に、ジアスターゼなどの消化酵素やビタミンCが豊富に含まれており、大根の抽出成分には抗菌作用もあります。
なお、朝鮮人参とは薬効が正反対で相殺されてしまうため、一緒に食べない方がよいとされています。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 長芋(山芋): 消化を助ける、腎を補う▶︎詳細な説明はこちら
◆ ゆずの皮:気の巡りをよくする
◆ 山椒:お腹を温める、湿気をとる
<材料>
-
大根、長芋 ・・・・ 適量
-
ポン酢 ・・・・ 適量
-
ゆずの皮 ・・・・ 適量
-
山椒 ・・・・ 適量
<作り方>
-
大根・長芋は皮をむき、拍子切りにする。(大根の皮も一緒に漬けてもよい。その場合は細切りまたは短冊切りにする。)
-
容器に1をいれ、ひたひたより少なめにポン酢を注ぐ。
-
1日漬け、大根はゆずの皮、山芋は山椒をふりかけいただく。
**** 冬におすすめの薬膳レシピ ****
ほうれん草のごまくるみあえ 冬の薬膳⑦
冬は身体のベースを作る季節で、腎を補ってくれる食材を積極的に摂るとよいです。
オススメなのが黒ごまやくるみなど手軽に取り入れられる食材。
和え物だけでなく、彩りにふりかけたり、間食で取り入れたりしてみてください。
東洋医学で冬に大切にしたい臓器は“腎”とされています。
解剖学でいう腎臓の範囲だけでなく、私たちの成長・発育にかかせないもので、ホルモンの働きや骨、脳、耳などと関連していると考えます。
冬の時期は植物でいうと、種の時期であり、実を固く閉ざして寒さや外敵から守り、来る春に備えてしっかりと栄養を蓄えている状態です。
私たち人間も同じく、寒さや風邪から身を守り、春に向けて身体作りをする時期です。
冬の時期に腎を補ってくれるものをしっかり摂り、身体のベースを整えていくのがよいでしょう。
また、この時期に風邪をひくと十分に身体のベースが補えなくなってしまいます。
できる限り風邪をひかないよう、ひいても回復を早くできるよう、免疫力を高め、冷やさないよう心がけましょう。
冬はできるだけ身体のもとを蓄えたい時期なので、激しい運動やサウナなど大量に汗をかくのは控えた方がよいでしょう。
ダイエットももちろんこの時期は厳禁です。
春になれば身体も余分なものを出してくれるので、まずは身体のベース作りをしっかりするとよいでしょう。
<腎を補う食材>
魚介類(特にカキ、エビ)、羊肉(ラム)、豚肉、うなぎ
山芋、くるみ、黒ごま、栗、黒米 など
ほうれん草のごまくるみあえ
<食材のポイント>
◆ 胡桃(くるみ):身体を補強し、脳の働きを高める
**食材の解説**
縄文時代の遺跡からもクルミの殻が見つかっているというほど古くから食されている木の実です。
クルミの効能は多く、腎を補う、強精健脳、肺の機能を高める、気の不足によるぜんそくを解消する、腸を潤し便秘を解消する、などがあります。
お子様の脳の発育や、妊婦さんの便秘解消にも効果があるとされています。
殻の形が脳に似ていることから、大脳の働きを高めると言われています。
現代の栄養学の視点でみると、クルミにはオメガ3脂肪酸であるα−リノレン酸が多く含まれており、血流をよくする作用があります。
また、抗酸化作用が高い食材で、肝臓の脂肪代謝や肝細胞の再生を促すとされています。
他に高脂血症の予防、尿道結石の予防、ガン抑制効果などがあるとされています。
クルミは身体を温める作用が強いので、もともと熱っぽい方には向きません。
また、脂質が多く消化しにくいため、下痢になりやすい方などは控えめにした方がよいでしょう。
なお、クルミの効能のもとであるリノール酸は酸化すると発ガン性を持つようになるので、できるだけ新しいものを選ぶとよいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ ほうれん草:血液を補う、身体を潤す
◆ 黒ごま:肝腎を補う、身体を潤す ▶︎詳細な説明はこちら
◆ 黒砂糖:身体を温める
<材料>(2〜3人分)
-
ほうれん草 ・・・・ 1束
-
黒ごま(すり) ・・・・ 大さじ1
-
クルミ ・・・・ 1〜2片
-
黒砂糖 ・・・・ 大さじ1/2
-
しょう油 ・・・・ 大さじ1/2
<作り方>
-
ほうれん草の根元の泥を洗い、塩ゆでし冷水にとり、軽くしぼったら5cm程度に切りしっかりしぼる。
-
すった黒ごま、粗く砕いたクルミ、黒砂糖、しょう油であえ衣をつくる。
-
1と2をあえる。
**** 冬におすすめの薬膳レシピ ****
山芋ときのこの味噌チーズ焼き 秋の薬膳⑧
季節の変わり目を土用といいますが、土用は胃腸や粘膜などが弱りやすい時期です。
この時期にとりたいものの一つが発酵食品です。
チーズと味噌をいれて焼くだけなので、あと一品という時も役立つレシピです。
夏の土用にうなぎを食べる、という習慣は広くひろまっているものの、土用についてはあまり知られていないのではないでしょうか。
土用は、季節と季節の間に必ずあり、春の土用、夏の土用、秋の土用、冬の土用とそれぞれの季節にあります。
例えば今年の秋の土用は10月20日から11月6日までの18日間で、秋の季節を完成させ、冬へのバトンタッチを行う準備期間です。
土用の時期は、その季節を完成させるためますますその季節の養生を心がける必要があります。
更に、土用は胃腸や粘膜に負担がかかりやすい時期なので、特に胃腸を大事に過ごすことが大切です。
時々季節の変わり目に決まって体調を崩す方がいらっしゃいますが、その方は特に土用の間は胃腸をいたわってあげるとよいでしょう。
<土用の養生>
- 冷たいものや甘いものを極力避ける
- 暴飲・暴食をしない
- からだ(特に胃腸)を冷やさない
- 発酵食品をよくとる
- 黄色の食材を取り入れる
- 消化に良い食事を心がける
- ネバネバしたものや消化酵素のある食材を取り入れる
発酵食品は、胃腸(東洋医学の“脾")を養う食材です。
味噌、チーズ、納豆、漬け物などを日常的に取り入れるとよいでしょう。
また、料理には普通のお砂糖よりも発酵食品であるみりんを用いた方がよいでしょう。
山芋ときのこの味噌チーズ焼き
<食材のポイント>
◆ 味噌(みそ):胃腸を温める、解毒する
**食材の解説**
日本の食卓にはなじみ深い味噌ですが、洋食化に伴い食卓にのぼることがやや減り気味である一方、優れた発酵食品として注目されている食材でもあります。
もともと味噌は醤(ひしお)という調味料から発展したもので、豆と麹から作る味噌をはじめとした穀醤の他に、魚醤、肉醤などもあります。
味噌は、からだにこもった余分な熱を収め解毒する効果やストレスを解消する効果があるとされます。
また、肝臓や消化器の機能を高める効果があるとされています。
魚や肉、野菜などを味噌漬けにすることで毒を消すともあります。
現代の栄養学でも動脈硬化・高血圧・心臓病や骨粗しょう症の予防効果があり、老化防止に役立つとされており、他にも胃がんや乳がんなどがんの予防効果、胃潰瘍の予防、整腸作用などがあるとされています。
アミノ酸も豊富であり、脳を活性化させる作用と鎮静化させる作用があるため、朝食にみそ汁を飲むと、朝やる気の起きにくいうつ傾向を改善させます。
なお、味噌の菌を活かすには加熱しすぎない方がよいでしょう。
また、発酵食品同士は相性もよく、うま味もますので他の発酵食品と組み合わせるものよいです。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ チーズ:からだの余分な熱をとる
◆ 山芋:消化を良くする、元気をつける ▶︎詳細な説明はこちら
◆ しめじ:血液を補う、お通じをよくする
◆ エリンギ:からだを潤す
<材料> (2人分)
-
山芋 ・・・・ 100g
-
きのこ(お好みのもの)・・・・ 100g
-
味噌 ・・・・ 大さじ1と1/2
-
チーズ(溶けるタイプ)・・・・ 30g
<作り方>
-
山芋は皮をむき、1cm程度の輪切りにする。きのこは石突きをとり、食べやすい大きさに切る。オーブントースター(またはオーブン)を温めておく。
-
アルミホイルに油を薄くひき、山芋の並べ、その上に味噌を塗る。その上にきのこをのせ、チーズをかけ、アルミホイルを閉じる。
-
オーブントースターで10分〜15分焼き、仕上げにアルミホイルを少しあけて焼き目をつける。
**** 秋におすすめの薬膳レシピ ****
蓮根ときのこのきんぴら 秋の薬膳⑦
今年の秋は雨が多く、乾燥ではなく湿気が多い季節でした。
からだの余分な湿気を取り除くには、唐辛子など辛いものがオススメです。
秋の食材と組み合わせて、肺の気を強くして秋の後半を心地よく過ごしましょう。
秋の季節の特徴は乾燥ですが、今年は曇りや雨が多く、湿度が非常に高い状態が続きました。
ようやく秋らしい天気に恵まれてきましたが、うまく湿気に対処できなかった方もいるのではないでしょうか。
日本は湿度の高い国なので、からだにも湿気が多くなりがちです。
秋は乾燥する季節なので、本来は余分な湿気を取り除くのに最適な季節なのですが、このように湿度が高いとからだに湿気がたまってしまいます。
からだに余分な湿気がたまってしまうと、むくみやすい、何となくからだが重だるい、重だるい感じの頭痛がする、胃腸の調子が悪い、風邪でもないのに鼻水がでる、痰が絡む、といった症状がでたりします。
そのままの状態で冬の寒さを迎えると、冷え性の方はいつも以上に冷えやすくなりますし、胃腸の弱い状態が続けば免疫力も低下してしまいます。
余分な湿気を取り除くには、利尿作用のあるものだけでなく、辛みを感じるものも効果的です。
辛みのあるものは気の巡りもよくしてくれますし、余分なものを発散する効果もあります。
また、東洋医学では、秋の味として“辛(しん)”が配当されています。
適度に辛みのあるものをとることで、秋の臓器である肺の気を強くしてくれます。
できれば秋のうちに余分な湿気は取り除き、秋の後半を心地よく過ごしましょう。
蓮根ときのこのきんぴら
<食材のポイント>
◆ 唐辛子(とうがらし):胃腸を温める、気血の巡りをよくする
**食材の解説**
辛いものの代表でもある唐辛子は、熱帯アメリカ原産のナス科の香辛料です。
唐辛子の効能としては、胃腸の冷えを温めて取り除く、食欲を促進し消化を助ける、などがあります。
また、唐辛子の性質は“辛”に属し、寒気を発散し、気の巡りをよくし、血を循環させる作用があるものです。
適量をとることで、胃腸の冷えをとったり、水分代謝や血流を促進したりすることができます。
なお、血液循環をよくする作用は、唐辛子の辛み成分であるカプサイシンの効能で、毛細血管を収縮させ、心臓の動きを活発にさせます。
他に、酸化防止・老化防止作用のあるカロチンやビタミンEなどを含んでいます。
唐辛子は刺激が強い調味料なので、前立腺肥大、膀胱炎、膀胱癌、痔、便秘しやすい妊婦の方はさけた方がよいでしょう。
また食べ過ぎると、胃痛、胃炎、高血圧、糖尿病、心臓病、膀胱炎、皮膚病、痔などさまざまな病気を引き起こしますので、適量を心がけましょう。
ちなみに、韓国料理では唐辛子を多く使いますが、韓国の唐辛子の方が日本の唐辛子よりも辛みが少なく、うま味や甘みもあるそうです。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 蓮根:からだの余分な熱をとる ▶︎詳細な説明はこちら
◆ しめじ:血液を補う、お通じをよくする
◆ エリンギ:からだを潤す
<材料> (2人分)
-
蓮根 ・・・・ 50g
-
しめじ ・・・・ 50g
-
エリンギ ・・・・ 50g
-
唐辛子 ・・・・ 1〜2本
-
しょう油 ・・・・ 大さじ1
-
塩 ・・・・ 小さじ1/3
<作り方>
-
蓮根を薄く輪切りにし、酢水にさらす。エリンギ、しめじは石突きをとり、エリンギを食べやすい大きさに切る。
-
唐辛子を輪切りにし、種を除く。フライパンにサラダ油(または白ごま油)と唐辛子をいれ、火にかける。香りがたったら、蓮根、エリンギ、しめじを炒める。
-
材料に火が通ったら、塩、しょう油をいれて炒める。
**** 秋におすすめの薬膳レシピ ****
豆腐ステーキ 秋の薬膳⑥
秋から冬は乾燥しやすい季節。本格的な秋になれば空気も乾燥し、のどや肌が荒れやすくなります。
白い食材や粘膜を強くする食材をよくとることで乾燥対策をしっかりしておくことが大切です。
はちみつは、肺や肌を潤し、殺菌力も高いので乾燥しやすい秋にオススメの食材です。
秋の長雨が終わると本格的な秋が到来し、乾燥した空気に包まれます。
とても気持ちのいい時期ですが、同時に肌やのどの乾燥が気になる方も出てきます。
夏の暑さでからだに熱がこもったままだと、より乾燥も強くなります。
乾燥するとまずのどが痛くなることが多くなり、咳が出ることもあります。
そのような時に、市販の風邪薬や咳止めを飲んでも効果がないことがほとんどです。
乾燥からくる咳を治すには、のどや肺をしっかりと潤してあげましょう。
早めに対処することで、粘膜も早くなおり、本格的な風邪になるのを防げます。
のどや肺を潤してくれるものは、おいしいものも多く、食事やデザートで上手に取り入れるとよいでしょう。
●肺やのどを潤す食材
- レンコン
- 白きくらげ
- ゆり根
- ぎんなん
- なし
- 柑橘類(特に皮)
- はちみつ
- アーモンド
- 杏仁豆腐 など
なお、咳が出ているときに香辛料やナッツ、脂っこいものをとると逆にひどくなってしまいます。
くれぐれも早く治そうとカレーを食べたりしないよう注意してください。
豆腐ステーキ
<食材のポイント>
◆ 蜂蜜(はちみつ):肺や肌を潤す
**食材の解説**
蜂蜜は蜂が集めた花の蜜が巣の中で熟成したものです。
古代より蜂蜜は生活の中に取り入れられ、蜂を神聖なものの象徴としてきました。
食材の効能からみても、蜂蜜は非常に優れたものです。
『本草綱目』には、「五臓の諸所の不足を安んじ、気を益して胃腸を補う」、「(身体を守る)営衛を和し、臓腑を潤し、(水の通り道である)三焦を通じ、脾胃を調える」とあります。
身体、特に肺や肌・腸を潤す効果があり、から咳や便秘の改善に効果があるとされます。
また、胃腸を丈夫にする、疲労回復させる、痛みを緩和する、解毒するなどの効果があるとされています。
実際、蜂蜜には腸の善玉菌を増やす効果、抗菌作用、免疫細胞の生成を促す作用などがあります。
また、蜂蜜の糖分はブドウ糖のため素早く消化吸収されるので、体力の落ちた時の疲労回復にもオススメです。
はちみつの解説はこちらもご覧ください。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 豆腐:からだの余分な熱をとる
◆ エリンギ:からだを潤す
<材料> (2人分)
-
木綿豆腐 ・・・・ 1丁
-
エリンギ ・・・・ 100g
-
片栗粉 ・・・・ 適量
-
はちみつ ・・・・ 小さじ1
-
しょう油 ・・・・ 大さじ2
-
オイスターソース ・・・・ 小さじ1
<作り方>
-
豆腐を1.5cmの厚さに切り、水分をキッチンペーパーでとる。エリンギを食べやすい大きさに切る。
-
1の豆腐の表面に片栗粉をまぶし、フライパンで焼く。エリンギも一緒にフライパンで焼く。
-
2の豆腐の両面に焼き色がつき、エリンギに火が通ったら、しょう油、はちみつ、オイスターソースをいれ、しっかりとからめる。
**** 秋におすすめの薬膳レシピ ****
大根とレンコンのツナサラダ <秋の薬膳>
暑さが残っていても暦の上では秋になったら、秋のカラダ作りをしていくことが大切です。
夏の暑さで乾いたカラダにしっかりと潤いを与えるのに、白い食材を積極的に取り入れましょう。
カラダを潤すだけでなく、胃腸を整えるのにも使えるレシピです。
8月後半から9月は暦の上では秋でも残暑が厳しく、真夏と同じ生活をしている人もいるのではないでしょうか。
実際には、朝夕は涼しくなり、空も高く、ジメジメした暑さから気持ちのよい乾燥した気候に恵まれることも多くなります。
カラダはというと、夏の暑さによって水分が少なくなっていたり、疲れがたまっていたりします。
更に冷たい食べ物や飲み物を多くとっていた人は、胃腸も疲れ気味。
朝夕の涼しさや空気の乾燥により、お腹を冷やしたり、何となくのどの風邪のように感じたりする人もいるでしょう。
これらの初期症状のときに適切に対処していればよいのですが、そのまま放置したり、真夏と同じ生活をして更に悪化させ、本格的な風邪をひいてしまうこともあります。
初秋の時期の養生として、まずは夏にたまってしまった余分な熱を取り去り、潤いをしっかり補いましょう。
カラダの余分な熱を取り去り、潤す食材は白色のものが多いので、白い食材を積極的にとる、というのでもよいでしょう。
●カラダの余分な熱を取り去り、潤す食材
- レンコン
- かぶ
- ナス
- 山芋
- 大根
- ゆり根
- 白きくらげ
- 乳製品
- 松の実
- 梨 など
なお、布団をかけて寝る、アイスや冷たいものを食べ過ぎない、靴下をはく、など身体を冷やさないようこの時期気をつけたいことです。
◆ 蓮根(レンコン):余分な熱をとる
**食材の解説**
夏の池一面に咲く蓮はなんともいいがたい美しさですが、その花も含め蓮はあらゆる部分が薬や食材として使うことができます。
蓮の実は胃腸を丈夫にする効果と安眠効果、蓮の実の芯の部分(蓮芯)は熱をとりイライラを収める漢方薬や薬茶として、花托は血の巡りをよくし、葉と花は暑気あたりの解消に、と捨てるところがありません。
蓮の根の部分がおなじみのレンコンです。
レンコンは生の場合と加熱した場合で効能が異なるとされています。
生では、余分な熱を取り除き暑気あたりを解消する、のどを潤し渇きを止める効果などがあります。生でレンコンを使う場合はすりおろして用いるとよいでしょう。
加熱した場合は、下痢を止める、血中の余分な熱を取り除き血行をよくする効果などがあります。
生でも加熱の場合でも、胃腸を丈夫にする効果があります。これは、新鮮なレンコンを割ったときにみられる糸の成分であるムチンの働きにより、胃腸の粘膜を潤し保護するためです。
様々な効果があるレンコンですが、消化しにくいため食べ過ぎには注意しましょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ 大根:気の巡りをよくする、消化を促す
◆ 白ごま:腸を潤し便通をよくする
大根とレンコンのツナサラダ
<材料> (2人分)
-
レンコン ・・・・ 5cm
-
大根 ・・・・ 10cm
-
ツナ ・・・・ 1缶
-
白ごま ・・・・ 大さじ1
-
マヨネーズ ・・・・ 大さじ3
-
塩 ・・・・ 小さじ1/3
<作り方>
-
レンコンは皮をむき、薄い輪切りにし、酢水につける。大根は千切りにし、塩を軽くふっておく。
-
沸騰した湯に1のレンコンを軽く湯通しする。
-
1の大根をさっと水で塩を流し、しっかり水を切る。2のレンコンもしっかり水を切る。ツナ、マヨネーズ、塩を入れあえる。
**** 秋におすすめの薬膳レシピ ****
イワシとズッキーニのオーブン焼き <夏の薬膳>
夏は暑さや汗をかくことで血流や心臓に負担がかかりがちです。
からだの水分だけでなく、血液中の水分も少なくなり血液も流れが悪くなります。
血液をサラサラにして夏の疲れを予防しましょう。
暑さが本格的になると、からだも暑さに慣れてきます。
一方で、暑さによるからだの疲れもたまってくる頃で、夏に負担のかかる血液は巡りが悪くなってきます。
夏の暑さによって、からだは汗をかいて体温を下げますが、しっかりと体液になるものを補わないと血液中の水分も少なくなって、いわゆるドロドロ血の状態になりやすくなります。
暑いと心拍数も上がり、ただでさえ血管や心臓に負担がかかる季節です。
加えて血流が悪くなるとよりからだに負担がかかり、疲れやすくなったりします。
また、血液の流れが悪く、血液中の水分量も少ないと、うまくからだの熱を発散できず、熱中症にもなりやすくなります。
なお、真夏と真冬は心筋梗塞など循環器系の疾患にかかりやすくなります。
もともと疾患も持っている人はいつも以上に血流をスムーズにするよう気をつける必要がありますが、健康な人でも血流が悪くなる時期です。
しっかりと水分補給をすることももちろんですが、血液の流れをスムーズにするような食材を日々取り入れるとよいでしょう。
●血液の流れをスムーズにする食材の例
青魚(いわし、さば、さんまなど)、そば、酢、レンコン、黒きくらげ、チンゲン菜など
◆ 鰯(いわし):気血を補う、血栓を予防する
**食材の解説**
スーパーの魚売り場でよく流れている曲で、魚を食べると頭がよくなると言っていますが、イワシをはじめとした青魚にはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれ、血中のコレステロールを抑え、脳の活性化を維持します。
どちらも最近注目されているオメガ3系の油で、血流をよくする効果があります。
中医学の古書には海の魚の記述が少ないですが、気血を補い、息切れやめまいによいとされます。
夏場は汗をかくことにより、気血を消耗しがちなので、気血を補う食材をとるとよいでしょう。
また、イワシはタンパク質はもちろんのこと、カルシウム、鉄分、ビタミン類など栄養が豊富です。
逆に、ビタミンCや食物繊維は不足するので、緑黄色野菜と一緒にとるとより効果的です。
しらすやオイルサディーン、煮干しなどでも同様の効果がありますので、加工品も上手に利用するとよいでしょう。
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ ズッキーニ:のどの渇きをいやす、熱をとる
◆ トマト:からだを潤す、余分な熱をとる ▶︎ トマトの詳しい説明はこちら
イワシとズッキーニのオーブン焼き
<材料> (2人分)
-
イワシ ・・・・ 4尾
-
ズッキーニ ・・・・ 1/2本
-
プチトマト ・・・・ 4個
-
にんにく ・・・・ ひとかけ
-
パン粉 ・・・・ 1/2カップ
-
パセリ ・・・・ 大さじ1
-
粉チーズ ・・・・ 大さじ1
-
塩 ・・・・ 小さじ1
-
小麦粉 ・・・・ 適量
<作り方>
-
イワシを3枚におろし、塩をふっておく。ズッキーニを縦に5mm程度の厚さに切る。プチトマトを半分にきる。
-
みじん切りにしたにんにく、パン粉、粉チーズを混ぜておく。
-
1のイワシに薄く小麦粉をまぶし、油をひいたフライパンで両面に焼き目がつくまで焼く。
-
耐熱容器に、3、ズッキーニ、プチトマトをのせ、2を全体にまぶす。予熱しておいたオーブン(またはオーブントースター)で15分程度表面に焼き目がつくまで焼く。
**** 夏におすすめの薬膳レシピ ****
じゃがいもカレーおやき 夏の薬膳
湿度が高くなってきたり、クーラーの中にいることが多かったりすると汗をうまくかけず余分な水分が出しにくくなります。
そんな時は香辛料を使って気血の流れを良くすることも有効です。
カレー粉は胃腸の働きをよくしたり発汗作用を促したりと夏に活用したい身近な薬膳食材の一つです。
蒸し暑い日が続くとたくさん水を飲んだり、クーラーの中にいることが多くなります。
しかし適度な暑さはからだにとって必要です。
暑さを感じることで汗をかき、からだの水分を入れ替えることができます。
冬に冷え性がひどくなる人、むくみがひどくなる人などは夏にしっかりと暑さを感じておくことで、からだの陰陽バランスがとれ、冬の症状が緩和することもあります。
また、オフィスではクーラーがよく効いていて汗をかくこともない、という人も多いでしょう。
夏なのに涼しいと、からだも汗腺を開くことを忘れてしまい、夕方外に出ても汗をかけなくなってしまいます。
すると、暑いのに汗がかけないので、からだの中に熱がこもり、日中外にいるわけでもないのに、涼しいところにいるはずなのに、のどが渇く、目が乾く、頭が痛い、からだがほてる、など軽い熱中症のような症状が出てしまいます。
いわゆる自律神経の乱れで、夜の寝付きも悪くなってしまい、悪循環になってしまいます。
そのような時は、からだにたまった熱を発散させるためにも汗をしっかりとかくことが大切です。
涼しい時間帯に散歩や軽い運動をしたり、お風呂に入ったりすることも有効です。
また、適度に香辛料の入った食事をとったりすることもよいでしょう。
もっとも暑い時期を迎える前にしっかりと汗をかく練習をしておくと、熱中症予防にも夏バテ予防にもなります。
なお、普段汗をかきなれていないのに、大量に汗をかくと脱水症状や熱中症になったりしますので、くれぐれも無理はせず、汗をかく前後には十分な水分とミネラルをとるようにしてください。
◆ カレー粉:胃腸の働きをよくする、発汗する
**食材の解説**
もはや日本食の一つといえるカレーですが、そのスパイスは様々な効能があります。
カレー粉によく含まれるスパイスとしては、ターメリック(ウコン)、ジンジャー(生姜)、チリ(唐辛子)、フェンネル(ういきょう)、クミン、コリアンダーなどでしょう。
含まれているスパイスには消化促進作用や発汗作用などがあります。
メーカーによって入ってるスパイスの種類や分量も異なるので、味だけでなく効能から選んでもよいでしょう。
ターメリック(姜黄):血流をよくする、からだの湿気をとる
ジンジャー(生姜):発汗させる、消化をよくする
チリ(唐辛子):食欲不振の解消する、発散させる
フェンネル(茴香):気の巡りをよくする
コリアンダー(香菜):食欲不振の解消する
今回のレシピで使っているその他の食材
◆ じゃがいも:元気をつける
◆ 枝豆:体の湿気を取る、元気をつける
◆ 玉ネギ:気の巡りをよくする、食欲不振を解消する
じゃがいもカレーおやき
<材料> (3〜4人分)
-
じゃがいも(大) ・・・・ 2個
-
枝豆(正味) ・・・・ 75g(50g)
-
玉ネギ ・・・・ 1/2個
-
ベーコン ・・・・ 50g
-
バター ・・・・ 10g
-
コンソメ ・・・・ 小さじ1と1/2
-
カレー粉 ・・・・ 小さじ2
-
塩 ・・・・ 小さじ1
-
片栗粉 ・・・・ 適量
<作り方>
-
枝豆をゆでる。玉ネギをみじん切りにし、ベーコンを5mm角に切る。
-
フライパンに油を大さじ1程度いれ、ベーコンを炒める。玉ネギも透き通るまで炒め、塩・カレー粉・コンソメをいれて軽く炒めたら火を止める。
-
じゃがいもをふかす。ふかしたらあついうちに皮をむき、つぶす。バター、2をいれてしっかり混ぜたら、さやから出した枝豆も一緒にまぜる。
- 3を食べやすい大きさにわけ成形する(目安:直径5cmで10個程度)。両面にかるく片栗粉をまぶし、余分な片栗粉をはたいてから油をひいたフライパンで両面に焼き目がつくまで焼く。
**** 夏におすすめの薬膳レシピ ****